【佐藤優のインテリジェンス人生相談】 “外務省のラスプーチン”と呼ばれた諜報のプロが、その経験をもとに、読者の悩みに答える！ ◆彼女にAVメーカーに勤めていることを隠しています コバヤシアツシ（ペンネーム）　AVメーカー勤務　男性　25歳 　私は新卒で、あるAVメーカーに採用されてから、そのことをずっと彼女に言えずにいます。彼女にはIT関連の会社に勤めていると伝えてあります。このままでは嘘をつき続けたまま結婚してしまいそうです。 　結婚の前に真実を伝えたほうがいいでしょうか。それとも彼女や彼女の両親には内緒にしておいたほうがいいでしょうか。ちなみに私は、体力的にはきついですが今の仕事にはやりがいを感じており、辞めるつもりはありません。 ◆佐藤優の回答 　嘘をつく生き方は、たいへんです。一度、嘘をつくと次々と嘘をつき続けなくてはならないからです。職業的なスパイは経歴を偽装しますが、その場合もできるだけ嘘は少ないようにします。それは、自分がついた嘘を記憶しなくてはならないからです。 　もっとも嘘をつくことと本当のことを全部言わないことは、まったく意味が異なります。あなたは彼女に、深く考えることなく「IT関連の会社に勤めている」と言ってしまったのでしょうが、もし「映像関連の会社に勤めている」と言ったならば嘘をついたことにはなりません。映像関連の仕事の中にAVも入るからです。 　結婚を前提に彼女と付き合っているならば、真実をできるだけ早く告知したほうがいいと思います。エジプト考古学の第一人者で東日本国際大学学長の吉村作治氏はこう言っています。 ＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝ 人間同士の付き合い方でいちばん大切なのは、最初に会った時のスタンスを守り続けることが長く続くコツみたいなものです。何事も「慣れ」って恐ろしいもので、また、これになかなか気が付かないことが多いのです。 しかし、「初々しい」ということはとても難しいことです。物事に慣れてきますと、いろんなことに対して「まず大丈夫」と思いがちで、チェックが甘くなり、失敗をしでかすのです。（『人間力回復宣言』176頁） ＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝