「大麻がデフォルト、男女の全裸アートもある」NYのアングラパーティ事情を追う
「もはやウィード(大麻)がデフォルト。ごくたまにですが、コカインなども見かけますね。ドル札を巻いたやつで鼻から吸っていたり、サブウェイ(地下鉄)の定期券が薄いプラスチックのカードなので、それで砕いて、寄せて、細い列にして吸引するという……」
こう語るのは、ニューヨークを拠点に活動するフォトグラファー、Shinichi Tsutsui氏(@shinichitsutsui)。アメリカでは合法的に大麻が解禁となった州も増えている(※2017年現在は9州)。だが、コカインは違法である。それだけではない。
「イベントでは男女が全裸になるようなアートも。特に恥ずかしがる様子もありません」
音楽、アート、ファッション、エンターテイメント。その本場といえば、“ニューヨーク”を連想される方も多いのではないか。まさに、すべての最先端。とはいえ、私たちが見ているものは表の顔、メジャーなシーンだけだったりもする。では裏の顔、アンダーグラウンドなシーンはどうなっているのか……。
ニューヨークで活動するフォトグラファーのShinichi氏。現地在住歴は5年になる。ストリートを中心に、アンダーグラウンドなクラブやパーティ、アートイベントなどにも潜入。エネルギー溢れるユースたちのファッションやカルチャーを記録し、雑誌やWebメディア、インスタグラムなどで発信し続けている。
最先端ニューヨークのアングラパーティ事情を追う
今回はShinichi氏に、現地在住者ならではの視点からニューヨークのリアルな姿、アンダーグラウンドなクラブやパーティシーンを聞いてみた。 「タバコやお酒と同じ感覚で大麻を平然と吸っている人が多いですね。安く手に入るみたいですし、プッシャー(売人)もそこら中にいますよ。周りで吸ってる人に聞けば、すぐに紹介してもらえるようです」 プッシャーといえば、映画などには大抵タトゥーまみれで目つきのヤバい黒人男性が登場する。また、そういったクラブやパーティシーンで撮影していて危険を感じたことなどはあるのか。 「全然そんなことはありませんね。どこにでもいる普通の白人女性とか。会社員が副業でプッシャーをやってたりすることもあるらしいです」 そんなプッシャーが近寄ってくることはあるのだろうか。 「向こうから近寄ってこられたことはないですね。日本では見られない光景なので、“写真の被写体”としてこちらから近づくことはありますが(笑)。こと大麻に関して言えば、現地では“危険なもの”という認識すらほぼありません」 現地ニューヨークに住んでいる人の肌感としては、それぐらい浸透しているらしい。一方で、日本においては“違法で危険なもの”という見方のほうが根強い。だが、ニューヨークでは少し事情が異なるらしい。果たして、どういうことなのか。 「大麻を吸っている人もコソコソしているわけではありません。ストリートで撮影していると、昼間から道ばたで大麻をやっている人を見かけることも珍しくない。大麻に関しては国により賛否がありますが、アメリカではその使用が合法化された州も多く、民衆での認識はドラッグとは全く違うところにあります。もはやお酒やタバコと同じぐらい気軽な感覚ですね。健康面に関しては、むしろアルコールより害が少ないとの認識が一般的になっています。ですので、法律的にはタブーですが、現地では“慣習的な古い法律ゆえにいまだ違法なもの”といった感覚です。ニューヨークのクラブやバーでは、大麻で代替される分、お酒の売り上げが下がっている気はしますけどね」 では、それ以外のドラッグなどはどうなのだろうか。 「大麻とは、まったく別問題ですね。ごくたまにですが、クラブやパーティでコカインをやっている人を見かけることもあります。ただ、こちらに関しては、やはり“ドラッグ”という認識が強いのかもしれません。そこまでの頻度ではありませんね。聞いた話では、どちらかというと“眠気覚まし”のような使い方をしたりもするのだそうです。例えば、クラブで泥酔したときにコカインでシャキッとする、みたいな。優等生こそ勉強の効率をあげるために使うことがあるなんて話も聞いたことがあります。その辺は伝聞なので真偽はわかりませんが……」
とはいえ、日本のクラブやパーティでもアンダーグラウンドなシーンでは、似たようなこともあるだろう。相違点としては……。 「それが誰でも入れるような公のパーティでも見られるのがニューヨークってことですかね。普段、撮影で行っているのは、特別な会員制とかではありません。普通のクラブですよ。とはいえ、決してメジャーなものでもありませんが……。最先端のファッションキッズたちが集まるイベントの告知をインスタグラムで見つけています。日本に限らず、どの国でも“そのカルチャーの中で特にイケてる代表者”のような人はやっぱりDJをするみたいです。それはニューヨークでも然り」 若者たちにとって欠かせないSNSのインスタグラム。利用者のなかでも特に情報発信力や影響力をもつ人を日本では“インスタグラマー”と呼ぶ。ニューヨークでもそれに近い人がいるということか。 「“インスタフェイマス”はニューヨークでもありますね。自分はそういった最先端の若者、エッジーで感度の高い人を常に被写体として撮影しています。街で声を掛けてスナップを撮らせてもらったあと、インスタのアカウントを聞いてチェックしてみると若者界隈では名の知れた有名人だった、みたいなことがよくありますね」
1
2
ライター・編集者。著書に『海外アングラ旅行』『実録!いかがわしい経験をしまくってみました』(共に彩図社)など。執筆協力に『旅の賢人たちがつくった海外旅行最強ナビ【最新版】』(辰巳出版)がある。Twitter:@gold_gogogo
記事一覧へ
記事一覧へ
この記者は、他にもこんな記事を書いています
ハッシュタグ