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全裸の仙人(!?)まみれ。1億人が集まるインドの祝祭がヤバすぎる…

 オレンジの布切れを巻いた半裸の状態に、ドレッドのようなヘアスタイル。ヒゲは伸び放題で、首元や手足にはアクセサリーをじゃらづけしている……。その独特な姿を一度でも見たら忘れられそうもないが、なんだか得体が知れない。彼らはいったい、何者なのか? サドゥ

謎の仙人(!?)たちが一挙に集結するインドの祝祭

 彼らはインドで“サドゥ”と呼ばれる人たちだ。家族や財産を捨て、着の身着のままに各地を放浪するなど、俗世間から離れた修行者・ヨガの苦行者。ヒンドゥー教においては聖者とされている。まさに、リアル仙人。  そんなサドゥの群衆が半裸あるいは全裸に白い灰を塗りたくり、寄声をあげながら疾走する……。異様な熱気に包まれ、およそ現世とは思えない光景が繰り広げられる“クンブメーラ”(水がめの祭り)と呼ばれる祝祭がある。2017年には、ユネスコの無形文化遺産にも認定された。
クンブメーラ

クンブメーラの様子

 アラハバード、ハリドワール、ナシック、ウッジャインの4都市を3年周期で巡回するため、“12年に一度の祭”と表現されることが多い。なかでも聖地・サンガムを有するアラハバードで開催されるクンブメーラにはインド全土のサドゥが巡礼に訪れ、「一億人が集まる」とも言われている。  インドに魅せられ、2006年から定期的に撮影に出向いている男たちがいる。2019年2月、世界最大規模の祝祭とも呼べるアラハバードのクンブメーラにも突入。フォトグラファーの名越啓介氏と『週刊プレイボーイ』の編集者である近田拓郎氏だ。
名越啓介氏と近田拓郎氏

名越啓介氏と近田拓郎氏(撮影/藤山六輝 @Bギャラリー)

考えるよりも撮れ! サドゥの“千本ノック”

 ガンジス川で沐浴をすれば、罪や穢れを洗い流せると言われている。クンブメーラ期間中に沐浴をすれば、通常の1000回分以上の価値がある。サドゥたち、そしてインド全土から集まった巡礼者たちはこれを目指すのだ。宗派やグループ毎に分かれ、大行進する。  そもそもふたりがクンブメーラを追うきっかけは何だったのか。  「僕は学生時代にバックパッカーをやっていたのですが、インドを半年ぐらいブラブラしていたんです。卒業して新入社員として週プレのグラビア班に入った頃に偶然、名越さんの写真集『EXCUSE ME』を書店で見つけて。衝撃を受けて、すぐに会わせてくれって連絡をとったんです。それで初対面でいきなり『インドに行きませんか?』って声をかけた。一応、雑誌の取材という建前でしたが……クンブメーラというよりは、単純に自分が良いなと思ったカメラマンさんといっしょに旅がしたいと思ったことがスタートですね」(近田氏)  バックパッカーとしてタイなどの東南アジアを旅してきた近田氏は、その流れからインドに沈没していた。一方で、名越氏は当初インドにはさほど興味がなかったという。 「以前はどちらかといえば精神世界みたいなものが苦手で……。インドに行ったことがある人の話をきいても抽象的で、リアリティがないと思っていました。ただ、近田君に誘われて行ってみたら、いろんなものが見えてきて。本当に不思議な場所だなって」(名越氏、以下同)  2006年、近田氏は最初のボーナスを握りしめ(※経費は自腹)、名越氏と共にインドへ向かった。しかし当時は何のプランもなく、ただ夢を語り、転がり、流され、気づくとネパールにいた。2010年、今度はハリドワールのクンブメーラを狙ったが、準備不足で祭りの後。サドゥを求めて右往左往した。  そこでは善悪の価値観が複雑に絡み合う。聖と俗の狭間で、千差万別のサドゥが存在している。厳しい修行に励むサドゥがいる一方で、観光客から小遣いをせびるような“職業サドゥ”もいるという。煩悩の数にちなんで108人のサドゥを白バックで撮影したが……。 「たくさんのサドゥがいたのですが、本物か偽物かわからないんですよ。弟子を従えているような威厳がある人もいれば、物を盗むような人もいる。サドゥのポケットに僕のフィルムが入っていたこともありましたね(笑)。修行として片手を挙げ続けていたり、髪の毛を伸ばし続けていたり、『俺のグル(尊師)は135歳だ』と自慢する人がいたり……。サドゥはいったい何者なのか、修行の意味合いなども含めて、たぶん真面目に考え始めたら一生かけてもわからない。だから考えるよりも、ただ単純にサドゥを探して撮る。もはや仕事ではなく、作品撮りに近いのかもしれないですが、近田君と“千本ノック”をやっている感覚ですね」  考え始めると矛盾が生まれる。考えたらおしまいだ。気温は50度に迫る炎天の下、意識もうろうとしながら無心でシャッターを切り続けた。
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しかし、誌面に載ることはなく…
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バガボンド インド・クンブメーラ 聖者の疾走
12年に一度、一億人の巡礼者が押し寄せる世界最大の祝祭にキャンプ・イン。マッドマックス? 黄泉の国? 突撃! 聖者(サドゥ)の大行進。転がり続ける写真家・名越啓介と週刊誌編集者による体当たりドキュメント。

●名越啓介写真展『LOOK at THE SUN』
開催期間:2019年7月20日(土)~8月4日(日)11:00~20:00 ※会期中無休
会場:Bギャラリー(ビームス ジャパン 5F)
住所:東京都新宿区新宿3-32-6

トークイベント「アーティスト・トーク Vol.2」
日時:2019年8月3日(土)18:00~19:30
ゲスト:村上淳(俳優)
予約定員制: 先着40名様 ※ご予約はBギャラリーまで(Tel:03-5368-7309)

●名越啓介写真展『MR.INDIA』
開催期間:2019年8月10日(土)~8月22日(木)12:00〜21:00 ※日曜は18:00まで
会場:IMA:ZINE 2Fギャラリー
住所:大阪市北区中津3-30-4
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