円満なルームシェア解消のきっかけは“婚活”
私たちはこれがきっかけで[ルームシェア]を解消しました!
これまで、数多くの30代でルームシェアをしている人たちを紹介してきたが、どの人たちもおおむねシェア生活に満足しているようだった。しかしルームシェアは恋人との同棲と違って、生活を始めるときから解消するときが確実に来ることがわかっている共同生活だ。特に本特集のように30代の人の場合なら、近い将来に起こりうることかもしれない。そこで、ここでは30歳になってルームシェアを解消したケースを紹介する。その激しい葛藤の足跡を見てほしい。
「婚活に向けて解消!」のケース
「このままじゃ結婚できないかも?」という不安を感じたきっかけは?
7月末をもって3年半に渡る、シェアを解消した川合幸司さん(仮名・30歳)。「このままだと結婚できなさそうな気がして」とシェアをやめた理由を語る。
川合さんが大学時代の友人とシェアを始めたのは’06年1月。新卒で入社した地方の広告会社から、東京のテレビ制作会社に転職したのがきっかけだったという。
「新卒時に地元に帰ったんですが、東京への転職が決まり、『今しかできないことを』と学生時代の仲間を誘って、シェアを始めたんです」
吉祥寺のマンション10階に構えた部屋は3LDK、70m2で、家賃22万円。夜には都心の夜景も愉しめる好立地で、同居人は大学同期の商社勤めとコンサルタントの2人。
「気心が知れていて安心だし、いざ始めたら、生活時間帯も違っていて、想像以上に生活がバッティングしない。生活上のデメリットといえば、朝シャワーを浴びる時間がカブるくらい。もともと一緒に旅行に行くくらい仲がいいうえ、異業種のナマ情報もリアルタイムで聞ける。例えば、商社のヤツからは中国経済事情、コンサルからは国内企業の現状とか。意識が高いヤツらと一緒に住むことで、勉強になることも多かったですね」
当初は2年限定という約束でスタートしたシェア生活だが、あまりの快適さにスタートから2年経った部屋の更新時には「満場一致で」延長が決定されたという。
「その時点で延長は一度きりだと決めていたけど、あっという間にそれから1年が経過した。振り返ってみると、その間、誰も安定した彼女をつくっていない。いつでも身近に人がいるシェアの安心感に浸っているんじゃないかと、不安になって解散を決めたんです。つまり『婚活解散』です(笑)」
ちなみに川合さんは、俳優の要潤にも似たかなりのイケメン。懸命に「婚活」などする必要もないように思えるが……。
「実はシェアのデメリットはもうひとつあって、合コンで女性にドン引きされるんです。途中までいい雰囲気でも『シェアしてる』と伝えると、途端に相手の温度が下がる。ボクは『この人だ!』と確信できる相手と35歳までには結婚したいんです。でも次に付き合った人とすぐうまく行くとは限らない。うまくいっても1年は交際したり、生活をしないと相手の本性はわからない。そう考えると、いまこの快適な生活を断ち切らないと、間に合わないと思って……」
結婚までの5年計画は始まったばかり。なのに「シェア時代よりも高い家賃の新居は20m2程度。狭いし、誰もいなくて寂しい……」という彼が、望み通りのゴールを迎える日はいつになるのだろうか。
― 30代で[ルームシェア]の住み心地【8】 ―
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