「野生」をむき出しにした人間はここまで狂う! 映画『光』主演の井浦新を直撃
人間が本来持つ「野生」がむき出しになったとき、その姿はまるでバケモノのように禍々しく、そして生命力に満ちたものになる――。
俳優・井浦新主演の映画『光』(監督:大森立嗣/原作:三浦しをん)が公開された。三浦しをんの小説の中でも「最大の衝撃作」と言われる同作の物語は、緑深い離島から始まる。
メインキャストは幼馴染の3人。離島で暮らす少年・信之(井浦新)と恋人の美花(長谷川京子)、そして父親に虐待されながらも信之を慕う輔(瑛太)は、閉鎖的な離島の集落で暮らしていた。しかしある日、島を訪れた旅行者に美花がレイプされ、その男を信之は殺す。直後に島を天災が襲い、バラバラになった3人は25年後に再会を果たすことに。
「俺はあの時の写真を持っている」
そんな言葉とともに信之の前に現れた輔。島での記憶を胸に秘めて妻(橋本マナミ)と娘と暮らしていた信之は、この再会をきっかけにさらなる「野生」をむき出しにしていく……。
「信之は抑圧された存在の象徴のようなキャラクターで、島を出て25年間生きてきたけど、生きる喜びを感じることがない人形のような存在になっていたんですよね。それが輔と再会したことによって、押し殺していたものが解き放たれた。だから再会後の信之は生命感に満ち溢れているんです」
そう話すのは、主演の井浦新だ。これまでもいくつかの大森監督作品に出演してきたが、「そのなかでも特に異彩を放ったものが生まれてしまった」と、印象を話す。
「同時に、こういう時代だからこそこういう映画があっていいな、とも思いました。たとえば世の中が閉鎖的になって、いろんな規制や倫理道徳が必要以上に求められて表現の幅が狭くなっている。自由さもどんどん締め付けられて。そういう日常に慣れてしまっている時代に、倫理道徳を度外視したような人間がたくさん出てきて、そのなかから沸き立ってくる生命感だったり、生きる力を描く作品があっていいと思うんです。時代に逆行しているけど、映画って本来そういうものだと思う」
井浦の言葉通り、再会後の3人の言動には、至るところに狂気が満ちている。輔は信之の妻と不倫関係になり、それを堂々と信之の前で公言。そんな妻と幼馴染に対して、表面上はいつも通りに接しながらも、まるで汚物を見るような冷めた目を向ける信之。そのなかでも特に、輔を演じる瑛太と井浦新とのセリフの応酬は見ものだ。
1
2
■映画『光』公式サイト(http://hi-ka-ri.com/)
この記者は、他にもこんな記事を書いています
ハッシュタグ