更新日:2022年11月20日 10:08
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『夫のちんぽが入らない』が Yahoo!検索大賞 2017小説部門賞に。賛否両論を乗り越えて…

夫のちんぽが入らない』が逆境を乗り越え、快挙を成し遂げた。12月6日、虎の門ヒルズフォーラムにて行われた「Yahoo!検索大賞 2017」発表会にて、カルチャーカテゴリーの小説部門賞に選ばれたのだ。  今年1月1日~11月1日までの期間、国内最大級の検索サービス「Yahoo! 検索」の集計データをもとに、前年に比べて検索数が最も急上昇した人物、製品、作品などが表彰される式典。言い換えると、選ばれるのはインターネット検索が情報収集の中心となった現代において、最も国民の関心や興味が注がれた対象。 Yahoo!検索大賞2017 ヤフー株式会社の片岡裕氏が「検索行動というビッグデータは、日本人の興味関心をあらわしている」と話す。まさに国民が選んだ大賞はだれなのか。結果は「ブルゾンちえみ」だった。お笑い芸人部門賞とのダブル受賞となる。 Yahoo!検索大賞2017 そのほか、アイドル部門賞に「欅坂46」、俳優部門賞に「高橋一生」、モデル部門賞に「泉里香」が選ばれるなど、まさに今年の顔。新しく設置されたローカルカテゴリーでは、山口県部門で「STU48」、栃木県部門ではBリーグの初代チャンピオンに輝いた「栃木ブレックス」が受賞。  さて、注目すべきは冒頭の『夫のちんぽが入らない』ではないだろうか。著者である主婦のこだま氏が自らの半生を描いた私小説である。文学フリマで販売された同人誌に収録され、大反響を呼んだ作品を大幅に加筆、修正のうえ今年1月に扶桑社が書籍化したものだ。 Yahoo!検索大賞2017 大学時代に現在の夫と出会い、交際期間を含めて約20年間も「入らない」問題と向き合ってきたこだま氏の衝撃の実話。タイトルの第一印象とは裏腹に、そこには生き方や家族のありかたとはなにかを問うシリアスな物語が――。賛否両論を巻き起こしながら、ネット上には、悩みを抱えるひとたちから「勇気をもらった」というコメントも多くついた。  こだま氏は「夫のちんぽ」のことを周囲の人に内緒にしているため、顔出しができない。今回の受賞に際し、担当編集の高石智一が代わりに登壇した。 Yahoo!検索大賞2017 こだま氏本人は、日刊SPA!の単独インタビューに応え、受賞の感想をこう話す。 「本を出版する前からタイトルで反感を買ったり否定されてしまうことも多かったのですが、読んでくださった方がそうではないことを伝えてくれて。1年かけて皆様に背中を押していただき、今回の大きな賞につながったのではないかと思います。本当にうれしいです」  同作は発売後、即10万部を突破。1年間を振り返って周囲に変化はあったのだろうか。 「普段は地方の山奥に住んでいるので、まったく周囲の変化は感じなかったです。ありがたいことに、エッセイなどの文章を書くお仕事が増えました。あとは、同じような悩みを抱えているご夫婦や病気をかかえている方からお手紙をもらうようになりました。今までは自分のことだけで精一杯だったのですが、考えたことがなかったことまで考えを広げられるようにもなりました。私が想像していた以上に受け取ってくださるひとたちが多かったようで本当に驚いています。改めて感謝を申し上げたいです」  さらに『夫のちんぽが入らない』は、2018年に実写化が決定している。こだま氏は「この作品が実写化でどうなるのか。また新しい広がりが生まれたらうれしいですね」とコメントを残した。また、今回の受賞に際し、担当編集の高石智一がこう言う。 「実際13万部ぐらいで、100万部とかの大ベストセラーにはほど遠い。とはいえ、売れ行き以上に出版を通じてこだまさんが楽しめることが大事かなと。今回の受賞を連絡したとき、こだまさんが喜んでくれたのがうれしかった。実写化の話もそうですが、この1年間は良い意味で『夫のちんぽ』にかかりきりでした。もしかすると、今後もずっと『夫のちんぽ』と付き合っていくのかなと感じています」  こだま氏は2018年1月24日に自伝エッセイ第2弾『ここは、おしまいの地』(太田出版)を発売予定だ。その勢いはまだ止まりそうにない。
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新聞広告で書名が出せない、ネット配信できない…
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明治大学商学部卒業後、金融機関を経て、渋谷系ファッション雑誌『men’s egg』編集部員に。その後はフリーランスとして様々な雑誌や書籍・ムック・Webメディアで経験を積み、現在は紙・Webを問わない“二刀流”の編集記者。若者カルチャーから社会問題、芸能人などのエンタメ系まで幅広く取材する。X(旧Twitter):@FujiiAtsutoshi

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