『孤独のグルメ』井之頭五郎が『クッキングパパ』に会ったら? 久住昌之氏×うえやまとち
ドラマのSeason7も好評放送中の人気漫画『孤独のグルメ』原作者・久住昌之氏と、今年で連載33年目を迎える長寿人気グルメ漫画『クッキングパパ』の作者・うえやまとち氏。食漫画を代表する二人が、うえやま氏の故郷・福岡で3月10日にトーク&ライブを実施した。昨年、テレビ番組の収録で出会い、意気投合した二人。ドラマ『孤独のグルメ』の音楽も手がけ、音楽活動も精力的に続けている久住氏が、福岡のライブ会場を探していたところ、うえやま氏のゆかりのお店でライブを開催することに。さらに、うえやま氏によるフォークデュオライブ、そして久住氏とうえやま氏による豪華対談まで決行された。クッキングパパと井之頭五郎の化学反応やいかに!? トークショーの模様を完全ルポ!
久住:うえやまさんとは、昨年テレビ番組の収録で初めてお会いしたんですよね。
うえやま:お互い音楽もやるんですよなんて話をしていたら、いつのまにかこんなことに(笑)。
久住:博多は何度か来たことがあるんですが、とにかく食べ物がおいしくて。福岡に転勤していた友達も「みんな福岡に行くともれなく太って帰ってくる」って言ってました。飲んだ後も食べちゃうし。うどんとかラーメンとか。
うえやま:若いうちはラーメンで、だんだんうどんになっていくんです。
久住:それにしても、『クッキングパパ』は毎週ひとつの料理を取り上げているのってすごいですよね。『美味しんぼ』なんて、ひとつの料理で何週も話が続くのに(笑)。いま何巻まで出ているんでしたっけ。
うえやま:146巻が5月23日に出ます。
久住:146巻! 1巻に何話入っているんですか?
うえやま:10話くらいかな。
久住:じゃあ今は146×10で……。
うえやま:1460回という中途半端な回(笑)。だいたい100回おきにカラーページとか増ページとかあるんだけど、1450回のときはなんもなかったな(笑)。
久住:ネタは毎週どうやって考えているんですか? みんなに聞かれるているでしょうけど。
うえやま:やっぱり旬の料理、いま話題の料理を「何かおもしろいのないですかね」って担当さんと電話で打ち合わせしてる感じですかね。たまに「あのおもしろいレストランに行ってみましょう」ということもあります。
久住:連載をはじめて今年で……。
うえやま:33年目ですね。
久住:うおー!それはやっぱり長い!嫌になることはなかったですか?
うえやま:もう限界!と思ったのは連載10年目、500回くらいのとき。これ以上やる意味あるのかなって。
久住:でもそこから、限界から20年続けているってすごい!
うえやま:開き直ったらまだ描けるかなって。1000回超えたら楽になるって秋本(治)さんが言ってたんだけど、うそばっかり! ますますきつくなるばかりですよ。
久住:僕は『孤独のグルメ』と『クッキングパパ』の共通点があるとしたら、ほかの漫画家が何をやっているか、何を描いているかは関係ないってことだと思うんです。
うえやま:少し前に「昭和のグルメブームのひとつとして、何か一言ください」と雑誌からコメントを求められたんだけど、「え? 昭和にグルメブームがあって、もう終わったの? 自分はまだ描いてるんですけど」って思いましたね(笑)。
久住:いわゆるバブルのグルメブームってのは、『クッキングパパ』を描き始めたあとのことですよね。
うえやま:僕が描きだしたのは85年だから、バブル少し前ですね。バブルの、おいしいものみんなで食べようぜ!っていう時代があって、そのあとまたバブルがはじけてぐちゃぐちゃになるんだけど。でもまあ、僕が描いているのは最初からB級だった。冷蔵庫を開けて、家にあるもので作れるよって料理が基本。あれがないと、とか、これを取り寄せないとダメとかない。「究極」とか言い出したらキリがないから(笑)。そのへんにあるものでおいしいもの作ろうって。
久住:あはは。僕も、『孤独のグルメ』って、よく『孤高のグルメ』って間違えられるんですよ。「孤高」というと「究極」対「至高」のメニュー対決っぽくなっちゃう(笑)。
うえやま:いや、あの漫画も素晴らしい作品だと思うんです。勉強になるし。でも飯食ってるときに怒らないでほしいなって。なんで飯食ってるときに「たわけ!」って言われないといけないんだ(笑)。飯がのどを通らないじゃない。ってまあ、漫画の話なんですけどね。
久住:『孤独のグルメ』でも、一回だけ五郎の前で人が怒られるって回があるんですよ。
うえやま:ありましたね。
久住:それで五郎が「人の食べてる前で あんなに怒鳴らなくたっていいでしょう 今日はものすごくお腹が減っているはずなのに 見てください これしか喉を通らなかった!!」って怒るんですけど、ヘンだよね(笑)。この主人公、おっかしいな、バカだなあって。
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