実はあのレシピは高田渡直伝だった!
久住:長寿連載だけあって、年を追うごとに登場人物も増えてきますよね。
うえやま:自分でも誰がどうなったかわからなくなってくるんですよ。いつも言われるのが犬(93年に初登場するベイ。99年以降登場していない)。「あの犬はどうなったんだ」って。60巻くらいで消えちゃったんですよ(最後の登場は63巻)。
久住:それから80巻以上出ているんですよね。80巻分時間が経ったら死んじゃうんじゃないですか?
うえやま:でも、『クッキングパパ』は時間が実際の時間の半分の速さだから。犬が消えてから17年以上経ってるけど、漫画の中では10年弱しか経っていない計算。だからギリギリ生きてるかも。読者からすごく言われるから、いまさらワンちゃん描こうかな。80巻ぶりに(笑)。
久住:登場人物の顔って変わっていきますか?
うえやま:変わりますね。荒岩だって、最初は顎の大きさが半分くらいだったのに。だんだん大きくなってきちゃって。あれ以上にするともう人間の顔じゃない……。
久住:あはは。
うえやま:僕としては顎を大きくしようと思ったわけではなくて、かっこよく描こうとしたらだんだんあんなふうになってしまった。でも漫画家はみなさん、描く顔が変わっていきますよね。『のたり松太郎』(ちばてつや)の、1巻のときの松太郎なんて本当にどうしようもないヤツだし。
久住:『あしたのジョー』(原作・高森朝雄 作画・ちばてつや)も途中からかっこよくなりすぎですよね。
うえやま:最初の段平(丹下段平)さんなんて、何だこのおやじは!って感じなのに、最後のほうは「ジョー!」ってかっこいい感じになって。でも変化していくのがいいんですよね。
久住:それこそ両津勘吉(『こちら葛飾区亀有公園前派出所』秋元治)もすごいですよね。最初は劇画タッチで。
うえやま:ペンタッチも全然違う。作者のペンネームも「山止たつひこ」って……(山上たつひこのパロディだったが、山上氏本人からクレームがあり、本名の秋本治に改めた)。
久住:そうそう!(笑)
うえやま:『こち亀』は、20歳くらいのときにジャンプで読んで、すごいなあ、まいったなあって思ったのを覚えています。