カジノ法案は安倍首相からトランプ大統領への“貢ぎ物”でしかない
国会で審議中のカジノ法案。日本経済に大きなプラスとなるという試算もあるが、安倍首相が“親分”であるトランプ大統領に捧げる“お友達案件”だった!?
「カジノ法案は、安倍首相からトランプ大統領への“貢ぎ物”でしかない。最大の献金者であるカジノ王こと、『ラスベガス・サンズ』のアデルソン会長の意向に沿ったものといえます」
こう話すのは、『中日新聞』の元ニューヨーク支局長で、20年以上米国取材を続けるジャーナリストの北丸雄二氏。
「『外国人観光客を増やす。成長戦略の柱』と安倍首相は言っていますが、カジノがなくても外国人観光客はすでに急増しています。カジノ産業が日本になぜ今、必要なのかと言うと、システムも機械も持っている米国カジノ資本を儲けさせるためとしか考えられないのです」
「トランプ大統領最大の献金者であるアデルソン会長は、米国とイスラエルの二重国籍を持つユダヤ系米国人。トランプ政権の内幕を暴露したノンフィクション『炎と怒り』にも、『極右の親イスラエル派』として登場しました。トランプ大統領が強行したエルサレムへの大使館移転を後押し、中東政策に大きな影響を与えたことが紹介されています。
今年6月に米朝会談が開かれたシンガポールでは、サンズが運営する『マリーナベイ・サンズ』を金正恩氏が見学したことから、『サンズの北朝鮮へのカジノ進出を睨んでシンガポール開催となったのか』という見方が流れたほど。それほど『トランプ大統領とアデルソン会長は一体』と見られているのです。
中間選挙の献金も行うアデルソン会長の意向を受けて、トランプ大統領が安倍首相に要請、カジノ法案成立に突き進んでいるという構図が明らか。しかもこの法案が成立すれば、進出するのはサンズなど米国カジノ業者であるのは確実です」(北丸氏)
2016年12月に成立したIR整備推進法案は、いま審議中の実施法案を1年程度以内に提出することを約束したものだった。IR法案自体は、以前から提出されては廃案になる店晒し状態が続いていたが、トランプ大統領と安倍首相の面談以降、急速に進みだしたのは紛れもない事実だ。
トランプ大統領の意向が安倍首相に伝えられた場面を『日経新聞』はこう伝えている。
「『シンゾウ、こういった企業を知っているか』。米国で開いた(2017年)2月の日米首脳会談。トランプ大統領は安倍晋三首相にほほ笑みかけた。日本が取り組むIR整備推進法案を歓迎したうえで、米ラスベガス・サンズ、米MGMリゾーツなどの娯楽企業を列挙した。政府関係者によると首相は聞き置く姿勢だったが、隣の側近にすかさず企業名のメモを取らせた」(2017年6月10日付『日本経済新聞』)
この記事について、塩川鉄也衆院議員(共産党)が国会で追及したが、安倍首相は事実関係を否定。しかし安倍首相は“親分”のトランプ大統領との会談前に開かれた朝食会で「カジノ推進法を作った」と報告、そこにはアデルソン会長に加えて米国カジノ大手のMGMリゾーツやシーザーズ・エンターテイメントの経営者も参加していた。“米国益実現”のために汗をかいていることを伝えたといえるのだ。北丸氏はこう語る。
「この日経の記事は、去年10月16日の『ワシントンポスト』でも紹介されました。その中で、元サッカー選手のベッカム氏がサンズの広報大使として来日、プロモーションを行ったことや、アデルソン会長が来日して松井一郎府知事と面談、推進法成立の際に設けられた『カジノ面積上限規制』に懸念を表明したことも報じられています。『面積が狭いと十分な投資ができない』と日本の規制に横槍を入れたのです」
トランプ大統領と、“カジノ王”アデルソン会長は一体
「カジノ法案作りました」と安倍首相が“親分”に報告
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