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日本映画は昭和~平成を経てどう変化したのか?

今上天皇の退位で、来年には幕を下ろす予定の平成。そんな平成とはいったいどんな時代だったのだろうか……と振り返りたいところだが、最近はなぜか「昭和かよ!」と言いたくなるような騒動や事件が続出している。そこで、さまざまな分野の昭和・平成の状況を比較。それぞれの時代の良しあしを確認して勝敗をつけながら、新時代に何を残すべきかを考えていく。
『シン・ゴジラ』

’16年に大ヒットした『シン・ゴジラ』ゴジラシリーズの第29作。画像は公式HPより

昭和の邦画黄金期vs平成の大手映画配給会社

「日本映画黄金期は1950年代。東宝、東映、松竹、日活、大映の大手5社すべてが勝ち組。独自路線でヒットを連発する映画が娯楽の中心の時代」と話すのは、専門誌『映画秘宝』の岩田和明編集長。 「当時は“時代劇、任侠の東映”“ホームドラマの松竹”“東宝特撮”“日活アクション”など、各社が異なるカラーでしのぎを削り、スターも専属契約のため誰が主演かでどこの配給会社の映画なのか観客レベルで区別できた。 それが’70~’80年代になると、メディアミックスでヒット作を次々と生み出した角川映画などを除き、邦画は低迷。 平成のシネコン時代に至っては、アニメのヒット作こそ増えたものの、全国どこへ行っても地方都市の風景が画一化された時代の潮流と歩調を合わせるかのように、邦画会社の個性も画一化し、各社のカラーが消えた。昭和と異なり、今はどこの配給会社の映画かパッと見では誰にもわからない」  日本映画産業統計によると、年間観客動員数ピークは’58年の11億2700万人。’17年は1億7400万人で、最も少ない’97年に比べれば3300万人多いが、黄金期にはほど遠い。そのなかで比較的安定しているのは東宝だという。 「大幅な路線変更をせず、伝統のプロデューサー主導システムで自社ブランドを大切にしてきたのが大きいのではないでしょうか。一昨年の『シン・ゴジラ』の大ヒットも、戦後最大の東宝スター、ゴジラを3・11後の今日性に落とし込むというコンセプトの優れたバランス感覚は、プロデューサー主導体制のなせる技だと思います」 <判定> キャラが立ちまくったお抱えスターを配し、質・観客動員の両面で固有の顔が明確に見える昭和の圧勝! 【『映画秘宝』編集長・岩田和明】 独自の切り口で名作・珍作にスポットを当て、ファンのみならず映画、メディア関係者から熱い支持を受ける映画誌。1000円+税で洋泉社より毎月21日発売 ― [昭和 VS 平成]十番勝負 ―
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