加熱式たばこへの切り替えは禁煙と同等の効果――体内に取り込まれる健康懸念物質量の低減が実証
11月9日、日本たばこ産業(JT)が「加熱式たばこ(プルーム・テック)使用時の体内に取り込まれる健康懸念物質量※(曝露量)の低減について」の調査結果に関する会見を開き、紙巻たばこからプルーム・テックへの切り替えは、曝露量において禁煙と同等の低減効果があるとの報告がなされた。
※米国食品医薬品局が提示する紙巻たばこの煙に含まれる健康懸念物質の成分リストを参考に16種の成分を選択
確たるエビデンスが揃わないまま飲食店での全面一律禁煙が推し進められるなか、JTでは自社の加熱式たばこ「プルーム・テック」の人への健康影響を評価する段階的なアプローチを継続している。
これまで製品中に含まれる健康懸念物質量が紙巻たばこに比べて99%低減されていることや、空気環境への影響調査において粉じん濃度や一酸化炭素濃度、ニコチン濃度など15項目において大きな変化が確認されなかったことが発表されてきた。その次なるステップとして、喫煙者の人体内に取り込まれる健康懸念物質量(曝露量)の調査が行われた形だ。
今回の調査では、60人の成人喫煙者(紙巻たばこ)を「紙巻たばこを継続」、「プルーム・テックに切り替えて喫煙」、「禁煙」の20人ずつ3グループに割り振り、5日間の調査期間をもって尿・呼気に含まれる曝露量の測定を行った。
調査には臨床薬理学を専門とする北里大学医学部付属臨床研究センター・熊谷雄治教授が参画し、倫理的・科学的信頼性を十分に担保する形で進められたという。
その結果が下記グラフである。
調査結果によれば、曝露量において紙巻たばこからプルーム・テックへの切り替えは、禁煙したグループとほぼ同等の効果があることが見受けられる。(唯一ニコチンだけは、体内に取り込まれている)
この結果を受けて、会見では熊谷教授が次のように語った。
「5日間という調査期間ではありますが、3日目にはほとんどの物質で曝露量はほぼ底に達しているため、調査として十分な品質が担保されていると考えます。また、着目すべきは禁煙したグループと加熱式たばこへ切り替えたグループの曝露量の推移がほぼ相似であったこと。これは調査の信頼性を裏付ける大きな要素です。つまり、加熱式たばこへの切り替えは健康懸念物質の曝露量の顕著な低減に寄与すると判断でき、ひいては疾病リスクを低減する可能性が非常に高いと推察されます」
JTでは今後、曝露量に引き続き、加熱式たばこによる人体への健康影響の調査も計画中だという。
もし加熱式たばこによって健康リスクが著しく低減されることが立証されれば、たばこを巡る論争に大きな転換が訪れる可能性もある。科学的調査が積み重ねられることにより、感情論によらない客観的かつ生産的な議論が交わされる日を切に願う。〈取材・文/日刊SPA!取材班〉
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