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日本は韓国に“経済制裁”で対抗すべき!?

「元徴用工」問題では前最高裁長官を逮捕

 1月24日、日本の最高裁長官に当たる韓国大法院の梁承泰(ヤン・スンテ)前院長が、新日鉄住金や三菱重工など日本企業を相手取った「元徴用工」(朝鮮人戦時労働者)らによる損害賠償請求訴訟を巡って、職権濫用の容疑で逮捕された。韓国メディアによると、梁容疑者が大法院長在任中、日韓関係への影響を懸念した朴槿恵(パク・クネ)前政権の意向を受けて、大法院の司法判断を意図的に遅らせたとされる。 韓国 韓国で開催した国際観艦式での海上自衛隊旗(旭日旗)の自粛要請、慰安婦財団の一方的解散、そして、火器管制レーダーの照射問題……。  日韓関係が日に日に悪化するなか、もっとも経済的影響が大きいとされる「元徴用工」問題を巡っては、現在、韓国国内で賠償命令の判決が濫発され、日本企業の資産差し押さえが認められている。もし、「強制執行」が行われれば混乱が広がるのは必至で、日本政府が再三にわたって韓国政府に協議を申し入れているものの、文在寅(ムン・ジェイン)大統領は年頭会見で「司法判断を尊重する」と話すにとどまり、今も事態が動く気配はない。果たして、今回の大法院長逮捕はどのようなメッセージと受け止めればいいのか? 元駐韓日本大使で外交経済評論家の武藤正敏氏が話す。 「『元徴用工』訴訟の損害賠償を認める判決を出せば、日韓関係が悪化することは目に見えており、韓国の国益を毀損することになるのは明らかです。だからこそ、朴前政権までは大法院が“おかしな判決”を出さないよう働きかけてきましたし、歴代政権の見解が踏襲されてきた。それが、文政権が誕生するや、新しい大法院長に自らの息のかかった左翼系の勉強会を主催する金命洙(キム・ミョンス)氏を抜擢。  その結果、日本企業に次々と賠償命令が出されることとなり、ついには司法判断を避けた前大法院長が逮捕される事態にまでなった……。文氏が大統領就任前の’00年に『元徴用工』訴訟を初めて引き受けた弁護士であり、盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領の側近として’05年に日本の植民地支配に協力した国民の財産を没収する親日法制定を主導した人物なので、ある程度予想できたことだが、やはり、韓国の三権分立は成り立っておらず『独立した司法』とは言い難い」  韓国では’17年に朴前大統領が、’18年には李明博元大統領が相次いで逮捕されるなど、文政権誕生以降、過去の保守政権を徹底的に糾弾する「積弊清算」が推し進められている。北朝鮮にすり寄る一方で、日本には無関心であり続ける……そんな文大統領の姿勢は「政権発足前から鮮明だった」と武藤氏は振り返る。 「’12年に駐韓大使だった私が大統領になる前の彼に面談を申し入れたときも、日韓関係の重要性をいかに説明しても、『日本は対北朝鮮関係をどうするのか?』と聞いてくるのみでした……。仮にも大統領なのだから自国の国益を総合的に判断しなければならないが、彼は今も人権派弁護士の感覚で大統領の職務を遂行しているのです。最低賃金だけを無暗に引き上げ、これに耐えられない中小零細企業は従業員を解雇せざるを得ず、その結果、失業率が上昇したのが象徴的ですが、文政権の経済政策は完全に失敗している。  政権浮揚の頼みの綱は、北朝鮮の金正恩委員長の訪韓だが、そのためには対北制裁の解除という“お土産”を渡さなければならない。平昌五輪では北朝鮮のモランボン楽団が訪韓し、万景峰号が寄港したが、これらは明確な“制裁破り”ですし、日本は違反した韓国を合法的に制裁する対抗手段に出ればいい」
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レーダー照射問題は次なるクレーム…
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