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定年後に働く60代の思い…給料が激減しても雇用延長にしがみつく理由

 あなたは自分が70歳まで働く姿を想像できるだろうか? 人生100年時代といわれる今、もはや悠々自適な引退生活など、遠い過去のものになった。  定年を迎えたサラリーマンにとって、最も有力な選択肢となる「雇用延長」という働き方。同じ仕事内容でも給与が下がったり、正社員から契約にされる現実や、やりがいのない業務内容に辟易する人も多いという。実際に雇用延長で働く60代たちは“今の自分”と、どう折り合いをつけているのか。
[70歳まで働く]超実践ガイド

「今のままなら恐らくまた再雇用の話がくるはず」と、会社と添い遂げるつもりの竹村さん

再雇用で給料は激減。しかし契約を切られる人に比べたらマシ

竹村隆史さん(仮名・62歳・製造)の場合  長年、電機メーカーで勤務してきた竹村さんも雇用延長を選んだ一人。どういった流れで雇用延長という形を取ることになったのか。 「定年の少し前くらいに会社から雇用延長する気はあるかどうかの確認がありました。生活費の心配もあったので、家族とも相談して、一度契約解除したうえでの再雇用を受けることにしたんです」  再雇用の場合、賃金が定年前から下がってしまうケースがほとんど。竹村さんも同様だった。 「定年前と比べて給料は、半額とまではいきませんが、やはり6割程度に落ちましたね。今は年収で400万円程度です。それだけ見ればかなり厳しい内容ですが、定年前までは現場で技術系の仕事も多く、年を取ってからは体力的にキツく感じている部分もあったので。  再雇用後はそういった仕事ではなく、事務仕事を中心に働いています。仕事中心だった定年前と比べるとやりがいは感じづらくなりましたが、その分、家族との時間もとれるようになりましたし、責任や負担が減ったのはいいかなと。理想の働き方じゃないかもしれないですけど、分相応なのかなと思っています」  ただ、今の契約は65歳まで。その後はどうするつもりなのか。 「また再雇用の話を待つでしょうね。給料はさらに下がってしまうと思うけど、なかにはそこで声がかからない人もいるんですよ。そういう人に比べたらありがたいし、できるだけ働こうって思います」  SPA!がとったアンケートでも「身の丈に合った仕事選びが大切」という声は多かった。定年前の自分の働き方と比べるよりも、今の自分に正直に向き合うのが大切なのだろう。 ― [70歳まで働く]超実践ガイド ―
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