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10%消費税増税はデフレに逆戻りする愚策なのか?

 消費税は’14年4月、第2次安倍内閣のもとで現在の8%となった。その後、’15年10月、’16年6月と2度、10%への引き上げは先送りされてきたが’19年10月に予定どおり引き上げを行うと、安倍首相は表明。施政方針演説では、「全世代型社会保障制度を築き上げるために、消費税率の引き上げによる安定的な財源がどうしても必要」と、国民に増税への理解を求めたが、どうしても消費税増税に反対な理由があるのだ――。 商店街

成長率を0.7%下げるという見方も

 ’18年10~12月の物価変動を除いた実質GDPは前期(7~9月期)比0.3%増と2四半期ぶりのプラス成長になったことが2月14日に発表された。しかし、楽観できる状況ではない。消費税増税は日本経済の成長率を押し下げるからだ。第一生命経済研究所の永濱利廣氏に、内閣府のマクロ計量モデルの乗数をもとに経済成長率への影響を試算してもらった。 「前回は駆け込み需要で’13年度の経済成長率が0.7ポイント押し上げられた一方で、増税によって’14年度は1.4ポイント押し下げられました。同様に次回の影響を試算すると、駆け込み需要で0.4ポイント押し上げるが、子育て還付などを加味しても増税後の1年の経済成長率を0.7ポイント押し下げるとみられます」
GDPギャップの推移

【GDPギャップの推移】日本経済研究センター「ESPフォーキャスト調査」に基づくと、10月増税でGDPギャップはマイナスになると予測

 さらに永濱氏は「消費税増税で『GDPギャップ』はマイナスになり、日本経済はデフレに逆戻りする」と指摘する。  政府・日銀はデフレ脱却に向けて「2%の物価上昇実現」を目標に掲げているが、「デフレ脱却」とは消費者物価指数のほか、GDPデフレーター、単位労働コスト、GDPギャップの4つの指標で判断される。  このうち「GDPギャップ」とは需要と供給の差のことで、プラスなら需要が多く物価が上がる要因になる。対してマイナスだと供給が多く、モノ余りの状態になる。 「’14年4月に増税した際も、直前までGDPギャップはプラスだったのに、増税直後から安倍政権発足以前のマイナス水準まで落ち込んだ経緯がありました。今回、’19年10月に消費税率を引き上げると、10~12月以降からGDPギャップがマイナスになるとの試算があります」(永濱氏)  消費税増税はデフレに逆戻りする愚策なのだろうかーー。 ― 消費税増税に反対する理由 ―
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