更新日:2019年06月24日 18:55
スポーツ

フェルナンド・トーレスが引退表明。心から愛するサガン鳥栖で迎える最終章

 23日(日)、元サッカースペイン代表でサガン鳥栖に所属するフェルナンド・トーレスの引退会見が、東京・帝国ホテルで行われた。会見が行われる2日前のリリースだったにも関わらず、会場には150名近い報道陣が殺到。DAZNのライブ配信では全世界で100万人が視聴するなど、稀代の名FWの偉大さが改めて示された会見となった。  質疑応答の中では「現役生活の中で最も影響を受けた選手」にリヴァプール時代のチームメイトであるスティーブン・ジェラード(元イングランド代表)の名前を挙げたほか、サガン鳥栖加入のきっかけが竹原社長との出会いだったことなど、様々なエピソードを披露。一つ一つの質問にも記者の目を見て丁寧に答えるなど、世界の一流選手らしい流石の振る舞いを見せた。  そしてこの会見で驚きの事実が発表された。トーレスが引退後、サガン鳥栖のアドバイザーとなりクラブに残るというのだ。

異例のアドバイザー就任

 トーレスが鳥栖に加入したのは昨年の夏。在籍期間はわずか1年だ。アトレティコ・マドリード、リヴァプール、チェルシー、ACミラン、そして再びアトレティコ・マドリードとビッグクラブ“のみ”でプレーしてきた当代屈指のスター選手が、最後にたった1年在籍しただけのクラブに籍を残すのは異例中の異例だ。かつてジーコが鹿島アントラーズで引退後に同クラブのテクニカル・アドバイザーに就任しその後のクラブの発展に大きく貢献したが、ジーコは日本に来る以前にすでに一度引退していた。ワールドカップを制したスター選手が現役を継続したままJクラブに加入し、引退後そのままクラブに残るのは史上初めてのことだ。  トーレスがこの決断に至った背景に、上記した竹原社長との関係性があるのは間違いない。だがそれだけでは、元々縁もゆかりも無かった日本のクラブに籍を残すことは無かっただろう。「サガン鳥栖をさらに大きなチームに、またJリーグと日本のサッカーを世界に広げるために貢献していきたい」といった言葉からも分かるように、日本でのプレーに大きなやりがいを感じていたからこその決断だったはずだ。

竹原社長とハグをするフェルナンド・トーレス選手

 そして会見の最後に語られたのが、鳥栖のチームメイトへの感謝の言葉だった。 「到着した初日に、チームの名簿を持ってきて僕がみんなの名前を覚えるのを手伝ってくれたんだ。その後も練習中にいろいろ伝えてくれたり、食事に連れて行ってくれたり、チームメイトと絆を深くするためにたくさんのことをしてくれた。これから先の2ヶ月で、お世話になったチームメイトみんなに何かしらの形で恩返しができたらと思うよ」  日々一番近くでプレーしたチームメイトたちの姿勢も、クラブとトーレスの心の距離をグッと近づけたようだ。  トーレスの現役最終戦は8月23日、盟友であるアンドレス・イニエスタ、ダビド・ビジャ擁する対神戸戦に決まった。引退まで残りの2か月、“エル・ニーニョ(神の子)”の最終章に注目したい。 取材・文/福田悠 撮影/難波雄史
フリーライターとして雑誌、Webメディアに寄稿。サッカー、フットサル、芸能を中心に執筆する傍ら、MC業もこなす。2020年からABEMA Fリーグ中継(フットサル)の実況も務め、毎シーズン50試合以上を担当。2022年からはJ3·SC相模原のスタジアムMCも務めている。自身もフットサルの現役競技者で、東京都フットサルリーグ1部DREAM futsal parkでゴレイロとしてプレー(@yu_fukuda1129
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