アマゾンで社内文書が「A4で1ページか6ページ」と決められている理由
1995年に米国シアトルでジェフ・ベゾス氏が創業したアマゾンは、今や世界16か国で約65万人のアマゾニアン(社員)が働く超巨大企業となった。その思考法や社内文化は、日本企業と大きく違うという。
amazonの絶対思考』。同書によると、社内文書の作り方ひとつとっても細かなルールがある。例えば「パワーポイント使用禁止」は今や有名だ。
では、アマゾン流の合理的なドキュメントとは何か? 長ったらしく華やかな資料づくりのために残業している、多くのサラリーマンとそれを求める上層部は、ぜひ参考にしてほしい(以下、星健一氏の寄稿)。
文章のクオリティに対してベゾスが要求するハードルは高い。当然、社内全体として質の高い文章を求めるのがアマゾンのカルチャーともなっている。では、何が良いドキュメントなのか、そのためのルールやフォーマットをマニュアル的になるが、概要を紹介しよう。
さまざまなドキュメントごとに、構成要素のフォーマットが示されている。「1ページャー」「6ページャー」それぞれに、代表的なものを列記しておく。
英文ドキュメントを前提としたフレームであり、各トピックの日本語訳も併記するがニュアンスが少し変わってしまうものもあることをご容赦いただきたい。少々わかりにくい単語があるかもしれないが、アマゾンのドキュメントに何が求められているかは理解いただけるだろう。
●1ページャー
[Progress report](経過報告)の場合
・Introduction(序論、まとめ、結論)
・Overview of Plan(プランの概要)
・Review of Progress(進捗状況)
・Changes in Plan Since Last Update(前回の報告からの変更、変化)
・Overview of Risks(リスクの概要)
・Next Steps(次のステップ)
●6ページャー
[Project proposal](プロジェクト提案)の場合
Part 1 : Press Release 1 pager(プレスリリース1ページャー)
Part 2 : Main Document 6 pager (メインドキュメント6ページャー)
・Introduction(序論、まとめ、結論)
・Customer Need(顧客のニーズ)
・Market Opportunity (マーケットのオポチュニティー)
・Business Case (ビジネスケース)
・Risks (リスク)
・Estimate of Effort (概算の開発期間)
・Timeline(ローンチスケジュール)
・Resources Required(必要なリソース)
Part 3:Q&A(想定問答集)
Part 4:Appendices (添付資料)
Part 5:Financial Model (財務モデル、PL損益計算表の試算)
ドキュメントの種類によって違いはあるが、まず冒頭のイントロダクションでは「そのドキュメントが何を提案しているのか」「参加者に何を求めているのか」を明確に提示すること。また、課題(誰が何に困っているかなど)やファクトを示した上で、「顧客にどんなベネフィット(便利)があるか」を明確にして、常に顧客目線をもった論旨であることが要求される。
世界中から、いろいろな事業の提案が持ち込まれる中、どれだけのインパクトを与えられるか、それは売上規模であったり、顧客数増であったり、大きなプロジェクトから優先される。なので、年に1度の予算作成時の来年の計画であったり、新規プロジェクトの提案は、ちまちましたものではなく、大きく顧客の利便性を向上させるものでなければならない。スケールの大きい、将来的に大きく伸びる提案をしないと、リソースを勝ち取ることは難しい。
アマゾン・ジャパンで2008~2018年に経営層であった星健一氏が、同社の強みを分析した著書『
これが、アマゾン流・ドキュメント作成ルールだ
ドキュメントフレーム:1ページャーまたは6ページャーで
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