“禁煙条例による経済損失” 県庁は見て見ぬフリ!?
― 禁煙ファッショが日本経済をダメにする!(3) ―
◆では、この経済損失について条例の発案者はどう捉えている?
一方で、莫大な経済損失が予想される受動喫煙防止条例。その第一歩を踏み出した神奈川県庁は今回の「マイナス237億円」という数字を、どのように考えているのか。今年4月から神奈川県知事に就任した黒岩祐治知事に取材依頼をしたところ、神奈川県庁から「この条例は、制定過程で経済的な影響に関する議論を行い、現在の形で制定されたものです」というメールでの回答が返ってきた。ただし、肝心な「当該調査の内容は承知していません」とのこと。
「しかし、本県が昨年4月から実施している施設への戸別訪問(今年3月末で約1万9000件)を行ったところ、飲食店、宿泊施設などの第2種施設において、これまで受動喫煙による健康への悪影響を心配していた利用客から好評を受けているとの声もありますし、全体として条例への理解は進んでいると考えられます」
つまり、「制定前に店舗から経済状況に関する話を聞いたし、施行後も一部の利用客から好評を受けているから、条例に問題はない」ということか? しかし、それでは今回の経済損失の数字に関する答えになっていない気が……。
そこで、条例の発案者である前県知事の松沢成文氏にも同様の質問を行った。すると、やはり「条例の制定過程で飲食業界などの利害関係者の意見を伺い、健康増進と経済的影響のバランスを図って制定した」という返答が。しかも、「飲食店の経済的損失が短期的に発生することは否定しませんが、長期的には国民の健康に役立ち、医療費の削減にも繋がります」という強気な発言さえ飛び出した。
一方で、条例による飲食店舗の被害を訴えてきた神奈川県喫茶飲食生活衛生同業組合の理事長・八亀忠勝さんはこのように反論する。
「『ちゃんと議論した』って言いますけど、実際、禁煙にした中小店舗の多くは、施行後に売り上げを激減させてしまったんですよ。中には経営難で閉店を余儀なくされた店もあるんですから……」
これでは「大多数の国民のために、飲食店経営者は犠牲者になってくれ」と言っているようなもの。一見順調にスタートしたように見える神奈川県の条例だが、実は問題が山積しているのだ――。
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