パチンコ・パチスロは規制緩和!? パチンコに天井搭載!? 2020年のパチンコ業界を占う
POKKA吉田&木曽崇のギャンブル放談<2019年末特別編1>
ぱちんこジャーナリスト・POKKA吉田氏とカジノ研究家の木曽崇氏がギャンブルをキーワードに言いたい放題しゃべりまくり、斬りまくる『POKKA吉田&木曽崇のギャンブル放談』。今回は共著『パチンコ滅亡論』(扶桑社新書)を刊行したパチンコライターの“大崎一万発氏&ヒロシ・ヤング”の両人をお迎えして、パチンコ業界の今後について言いたい放題語ってもらった。
――『パチンコ滅亡論』が発売早々に重版出来となりました。おめでとうございます。
大崎一万発:ありがとうございます。
ヒロシ・ヤング:おかげさまで、1月12日に行われる発売記念トークライブも完売しました。
――すごいですね! この本の中では、大崎さんとヤングさんがパチンコ業界の現状を嘆きつつも、こうしたらいいんじゃないか、ああしたらいいんじゃないかと議論したり、ときに文句を言ってみたりと、いろんな要素が詰まっていますよね。かなり読み応えのある内容になっていますが、書き終えてみての率直な感想はいかがですか?
ヒロシ・ヤング:ここ数年は、業界の移り変わりが激しくて、発言した内容がどんどん古くなっていくっていうことはひしひしと感じました。
大崎一万発:たとえばね、この本の中には「ユーチューバーがライターを殺した」っていう項目があるじゃないですか。パチンコライターが今までやってきたパチンコの広告宣伝の分野にどんどん新手のユーチューバーが入ってきているということを指しているんですけど、実はもう最近では、芸能人や有名人の相次ぐ参入で、ユーチューバー自体も殺されかかりはじめとる状況になっている。お笑いコンビの霜降り明星のチャンネルでは、パチンコネタの動画はものすごい再生数を叩き出してます。とくにツッコミ担当の粗品さんみたいな喋りのプロで、かつパチンコの素養がある人らがどんどん参入してきたら、今支持を得ているユーチューバーも、消えていく運命なのかもしれない。
POKKA吉田:『パチンコ滅亡論』は、結構長い期間かけて作ったんだよね。
ヒロシ・ヤング:本格的に動き出したのは1年前ぐらいだけど、「対談で本出したいね」っていう話は、じつは4年ぐらい前からあったの。ほかのライターやパチンコ・ユーチューバーとの差別化っていうか、俺らはちょっと違うところもある、違う視点からパチンコを語りたいっていうことを主張したかった。
大崎一万発:現実的な話、認知度ってところに関しては、ユーチューバーの演者さんにごっそりもっていかれてるじゃないですか。今の20代のユーザーなんかは、僕らのこと全然知らないですから、このままじゃメシが食えなくなる。ああいう腰掛けでパチンコに関わっている若造に駆逐されたくないっていう想いもあったんでね。
ヒロシ・ヤング:おっちゃんはだてに年食ってるわけじゃねぇぞ! 30何年も前から打ってんのじゃー! って(笑)
――木曽さんも『パチンコ滅亡論』でお2人と対談されてますよね。
木曽崇:はい。業界の危機感について熱く語っておられたのが印象的でしたが、危機感を強く感じるようになったのは、やっぱり参議院選がきっかけだったの?
ヒロシ・ヤング:自民党の尾立源幸さんが比例区で立候補したときのパチンコバッシング、あれは大きかったですね。
大崎一万発:我々がはっきりと業界側に立って物言ってくぞって腹くくったのが、あのときやったからね。本の執筆を進めている途中で、広告宣伝やスペックに関して、規制がきつくなったり緩くなったり、わけのわからない動きばかりで、なにこの業界!? っていう思いもありました。
POKKA吉田:機械のスペックの規制に関しては、解釈基準や自主規制などがこの2年近くずっと緩くなってんの。
木曽崇:業界のロビー活動が機能してるってことね。
POKKA吉田:ロビーは機能してるけど、警察の方にも’18年の改正規則があまりに厳しいっていう自覚はあるのよ。
ヒロシ・ヤング:規則が厳しすぎるから、解釈基準を変えて実質的に緩和しようということ?
POKKA吉田:同じようなことは’04年の規制強化の際にも起きていて、当時はパチンコの規制は比較的緩く、スロットの規制はものすごくきつかった。それを知っている警察は、当初から解釈基準を変えて徐々に緩和していこうという腹で動いてましたね。今回は警察がそこまでちゃんと考えてやってるようには見えないけども、風営法議連(※編集部注、通称「パチンコ議連」)をはじめ、それなりのロビー活動があちこちからきている状況に対応しているということでしょうね。
大崎一万発:でもほら、パチスロって結局、単位時間あたりの出玉率の規制が一番の足枷じゃないですか。上下のレンジは法律で明記されてるから、そこの基準をパスしないと無理ですよね。
POKKA吉田:ただそれは、設計値を問う規制ではなくて、型式試験に適合すりゃセーフなわけで。自主規制のやりようによっては、今の出玉率の規制の中でも、市場に出てユーザーから叩かれないような遊び応えのある機械を作ることは可能だと思うよ。
大崎一万発:パチスロってわりとガッチガチだけども、パチンコっていま実測3万発以上出る台が普通になってきてるやないですか。
POKKA吉田:うん、でも規制上は出たらダメなのよ。実測2万発でも規制を超えるんじゃないかな。ただ、出る可能性はある。
大崎一万発:しかも、可能性はっていうレベルでなく出るんですよ、最近の機械。わりと日常的にバリバリ出とんねんけど。あれどういうカラクリなんか。パチスロってまずそんなことはないんですよ。
POKKA吉田:いや、パチスロもこれからやろうと思えばできる。一撃5000枚とかいうのは無理かもしれないけど、現行の最大総枚数2400枚で強制終了っていうのは、設計値を通ってる規制じゃなくて、自主規制だから。同じように、パチンコの現行のスペックも設計値を通った規制じゃなくて自主規制によるものなんだけど、スロットと違うのは、獲得玉数の期待値の総量を上限としているだけのこと。たとえば、出玉20000発が5回、出玉1000発が何十回とかにしてならせば、総量は合わせられるよね。パチンコの場合は確変があるとはいえ完全確率なので、組み方にちょっと工夫が必要やけど、まぁ一緒です。
大崎一万発:じゃあ、パチスロも、パチンコみたいになるかもって期待してもいいっていうことなの?
POKKA吉田:風営法議連の力もあって自主規制基準の改定作業をずーっと何か月もかけてやってるけど、それを皮切りに、ある程度期待できる機械も出てくるやろうね。
大崎一万発:ならええけど、でもそれやったらなんのために規制したんやろ、みたいな話にはなるよね。
POKKA吉田:なんのために規制したんやっちゅうのはまた、別問題で。
『パチンコ滅亡論』が業界から注目されている
『パチンコ滅亡論』 パチンコはたいして勝てません。なぜこの一言をパチンコ業界は言えないのか… 依存症、釘、換金、広告規制、カジノ、客離れ…業界のご意見番の2人が余すことなく語り、容赦なく斬るパチンコ文化論。 パチンコジャーナリスト、カジノ研究家とのスペシャル対談も収録。 |
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