更新日:2020年01月30日 15:49
エンタメ

<純烈物語>怒涛の年末年始を追跡。2度目の紅白の味は……?<第28回>

トップバッターで紅白リハーサルの囲み取材に登場。詰めかけたカメラのフラッシュの放列に驚いた4人

純烈怒濤の年末年始を追跡 2度目の紅白の味わいやいかに

 昨年12月のクリスマスシーズンから年末年始にかけて、純烈関連のトピックがYahoo!ニュースに出なかった日はなかったと言っていい。それほどこのグループは、世間における日常の中へ食い込んだコンテンツとして据えられている。  ものすごいスピードで情報が消費されていく中、酒井一圭と純烈のメンバー、そしてスタッフは一年間の集大成となるその一週間を駆け抜けた。それはまさに“怒濤”の二文字がふさわしい疾走ぶりだった。  12月25日、名古屋国際ホテルのディナーショーが2019年の歌い納め。数えてみれば昨年の公演本数は450に達し、紅白歌合戦初出場を果たした前年をはるかに超えていた。  その後、純烈丸は紅白&レコード大賞モードへと突入。同時に、新曲のレコーディングも始まる。  ニュースとして世に伝えられるのは前者の方。それだけでも慌しく映るのに、純烈は2020年に向けてすでに動き出していた。  紅白用の衣装合わせは、レコーディング中の空き時間を利用しなければならないほどのスケジュール。28日には紅白とレコ大のリハーサルが始まり、NHKとTBSをラダー移動する。  紅白2年連続出場ばかりがクローズアップされるものの、三軒茶屋の小さなスタジオで歌唱力ゼロからスタートしたグループが『日本レコード大賞』の優秀作品賞を受賞したのも称賛に値する。「大衆の強い支持を得て、作品としても芸術性・独創性に優れ、その年度を反映した作品」として認められたのだ。 「自分たちは、歌で勝負できるほどの実力はない」と言い続ける酒井だが、それはハードルを低くするための言い逃れとは違う。むしろ、だからこそ本気で向き合ってきたしその姿勢がファンに支持されている。  そんな純烈の作品が「優秀」とされたのだ。CDの売り上げやテレビの視聴率、観客動員などさまざまな評価がある中、こうした形で認められたのは歌い手冥利に尽きただろう。気がつけば純烈は、芸能・音楽業界における勲章の対象となり得るアーティストに成長していた。  一方『第70回紅白歌合戦』は27日に曲順が発表になってから加速が増していく。28~31日は出場歌手の音合わせとリハーサルが割り振られ、取材日に当てられる。純烈は28日が音合わせからの囲み取材、30日がオープニングリハ、31日の昼が通しリハだった。 「ずっと、メンバー脱退騒動からここの記憶を思い返していなかったので、味わう暇もなかった。だから、久しぶりに(この風景を)思い出しましたね」  本来ならば、デビュー10年でかなえた夢の一場面一場面を反すうするように噛み締められるはずだった。けれども、直後に発覚したスキャンダルがそれを許さなかった。  おびただしいカメラのフラッシュを浴びるうちに1年前、報道陣に囲まれ夢うつつの中へいた自分がフラッシュバックしてきた。会見もエンターテインメントという姿勢だから、酒井はリポーターとその向こう側にいる視聴者を楽しませようと笑いをとり、終始和やかなムードで囲み取材はおこなわれた。何百回と聞かれたような質問にも、そこで初めて答えるかのように返すのもさすがだ。 「2月に入って大分、熊本と初めての町へいった時に、ペンライトも振られていない客席後ろの方に座るお爺ちゃんお婆ちゃんたちが『テレビで会見を見て、ウチの町へ来てくれるからには頑張れ!って言いたくて来たんだよ』って言ってくださったんです。その時、諦めずに2度目の紅白を目指さなければって思いましたね」  1度目は、ゼロから頑張ってきた自分たちがようやくつかんだ夢の舞台だった。だが同じ紅白出場でも、2度目の目指す理由は確実に変わった。  今年一年を漢字一文字で表すとすれば? という質問を振られた小田井涼平は「謝罪から始まり、感謝で終わる。まったく反対の意味なんですけど、どちらにも入っているということで“謝”にします」と返した。見出しになるような答えを瞬時にして言葉へ変換できるのは、酒井だけではない。  29日はNHKラジオ『うたことば』にメンバー全員で生出演。30日のレコ大では新国立劇場のステージで受賞曲『純烈のハッピーバースデー』を披露する。そんな合間を縫って酒井は、紅白前日にある動画をツイート。  それは11月14日、2度目の紅白出場の報が舞い込んできた瞬間の生々しい映像。当連載でもその時の模様を伝えたが、克明に描けたのは酒井のスマホへ保存されているライブラリーを見せてもらっていたからだった。 「昔からこうやって一つひとつのトピックを写真ではなく動画に収めてストックし、振り返ることで自分の記憶の確認作業をしていたんです。でも、最近は見る時間がなく溜まる一方で。頭の中の録画を見るしかなくなっちゃっていますね」  本当はもっと長尺で、メンバー一人ひとりの瞬間もとらえているのだが、その中からマネジャー・山本浩光が号泣するシーンだけをトリミングし、晒した。本来ならば世に出ないままだった情景。それでも、酒井はその瞬間をファンにも共有してもらいたかったのだろう。その上で紅白を見れば、また味わいも違ってくる。  こうして迎えた令和最初の大晦日。4人は朝のうちにNHKホールへ入る。長い長い一日が始まった――。
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1回目の紅白とは違った光景を楽しんだことでバグが……
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(すずきけん)――’66年、東京都葛飾区亀有出身。’88年9月~’09年9月までアルバイト時代から数え21年間、ベースボール・マガジン社に在籍し『週刊プロレス』編集次長及び同誌携帯サイト『週刊プロレスmobile』編集長を務める。退社後はフリー編集ライターとしてプロレスに限らず音楽、演劇、映画などで執筆。50団体以上のプロレス中継の実況・解説をする。酒井一圭とはマッスルのテレビ中継解説を務めたことから知り合い、マッスル休止後も出演舞台のレビューを執筆。今回のマッスル再開時にもコラムを寄稿している。Twitter@yaroutxtfacebook「Kensuzukitxt」 blog「KEN筆.txt」。著書『白と黒とハッピー~純烈物語』『純烈物語 20-21』が発売

純烈物語 20-21

「濃厚接触アイドル解散の危機!?」エンタメ界を揺るがしている「コロナ禍」。20年末、3年連続3度目の紅白歌合戦出場を果たした、スーパー銭湯アイドル「純烈」はいかにコロナと戦い、それを乗り越えてきたのか。

白と黒とハッピー~純烈物語

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