22歳女性が虐待する親から離れられない理由
幼少期だけでなく、大人になっても毒親の存在に悩まされている人は多い。無力な子供時代ならともかく、成人しているのなら毒親とは絶縁したらよさそうなものだが、ときに親子は共依存状態となり子は親元から自立できないことがある。今回筆者の元に訪れた沖縄在住の22歳の女性の例を紹介しよう。
沖縄で少女買春や裏社会に関するアングラ系の記事をメインに執筆している筆者は、これまで様々な境遇の方に取材し、話を聞いてきた。貧困ゆえに臨月になってもキャバクラで働き続ける20代前半の女性、癌になっても治療費を稼ぐために売春する女性、親に「高校に行かないなら月6万円家に入れろ」と言われ売春するしかない16歳の少女。彼女たちの壮絶な半生を聞くにつけ考えてしまうのが、生まれ落ちた家の環境が、いかにその人の人生を左右するかということだ。
今回私のもとを訪れてきたA子もそうだった。今年22歳になったばかりのA子は、生まれも育ちも沖縄の那覇市。A子が筆者にコンタクトをとってきたとき、A子は実家にいた。母親から逃げる準備をしているとのことだった。
彼女には食物アレルギーがあるが、母親が無理やりそのアレルギー食品を食べさせてこようとするらしく、「実家から出ないと母親に殺される気がする」とかなり気が動転している様子だった。
現在、A子の実家に父親はおらず、母娘の二人暮らしだ。父親はギャンブル癖がひどく、A子が高校生になったころに両親は離婚している。
「でも私が小さかったころは、両親そろって動物園に連れて行ってもらったこともあるし、悪い思い出ばかりじゃないんですよ。結局、あの日は帰り際にお父さんを怒らせて、車の中でライターで腕を炙られちゃったんだけど」
彼女の両親が行っていたことは間違いなく虐待だ。だが、動物園に連れて行ってもらったからという理由で、それを良い思い出として語ってしまえるくらいA子は親の愛情に飢えていた。
「母親は私のことは何もかも否定するんです。学校でいい成績をとっても、賢ぶるなって責められるし、私イラストを描くのが趣味なんですけど、それすらも“こんなオタクっぽい絵ばかり書いて気持ち悪い”って否定されます。だけど、ちょっとエロいイラストを描くとなぜか褒められた。基準が普通じゃないですよね」
彼女が成長してからは身体的な虐待はなくなったというが、母親はA子に父親とのセックスの内容を詳細に語るなど、今でも精神的に彼女を苛めている。また、A子は今でも離婚した父親と会うことがあるそうだが、父親は、現在付き合っている女性とのセックスで使ったというバイブをA子に見せつけてくるなど、明らかに性的な虐待といえるような行動をとっていた。
幼い頃から続く親からの虐待
1
2
1988年沖縄県生まれ。高校中退後、キャッチのアルバイトをきっかけに、沖縄県内のキャバクラやクラブで働く。2015年高校卒業後、現在は佛教大学社会学部現代社会学科(通信制課程)に在籍。社会学を勉強するかたわら、キャバクラ時代に知り合った人脈を生かし、取材・執筆活動を行っている
記事一覧へ
記事一覧へ
ハッシュタグ