シノギを失った裏社会の住人たちの“暴徒化”に気をつけろ
コロナ旋風が多くの業種に大打撃を与えているが、それは“裏社会”で生きる人々にとっても、決して無縁ではない。違法なドラッグやギャンブル、特殊詐欺(オレオレ詐欺、振り込め詐欺など)に関わっている彼らの現状はどうなっているのか。『半グレ』(彩図社)著者で裏社会に詳しい作家の草下シンヤ氏に話を聞いた。
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日本政府から配布された布マスクは回収騒動が起き、社会に混乱をもたらしている一方で、実は裏社会ではそれほどマスクに困っていなかったという。
「1万個買うのであれば、中国産は1枚40円、タイ産は75円ほどで出回っています。仲間内で出回るので、ヤクザの間では値段を釣り上げるような転売はあまりないようです」(草下氏、以下同)
なぜ彼らはマスクが手に入るのか。草下氏は次のようにツイートしている。
「裏社会の人間は縦横のつながりが強く、全国にネットワークを持っている。また、病院などの医療関係施設に食い込んでいる組織もあり、マスクの調達は比較的容易。私のところにも『マスク必要だったらあげるよ』と連絡があるが、もっと必要な人がいると思い、お断りしている」
それでは一体、どうやって病院に食い込めるのか。
「たとえば美人局。キャバクラ等で女を介して弱みを握ることができれば、ルートが作れますよね。あとは、接骨院などで横行していましたが、保険証を使った医療費の不正受給などで一緒に悪さをして、結託するケースもあるでしょう」
ほかには、中国系とのつながりからマスクを調達する業者もあるそうだ。
裏社会の人々は焼肉店や居酒屋などの飲食店、キャバクラ、風俗のほか、建設、運送、アパレル等々、あらゆる業種に根を張っていて、コロナで大打撃を受けているケースも決して少なくない。
「『タタキに気を付けろ』とあちこちで言われています。強盗を意味する隠語です。これまでタタキの対象はオレオレ詐欺やマネーロンダリングなどで荒稼ぎをした“同業者”を狙うのが一般的だったんですが、食い詰めて手持ちの現金がなくなってくると、資産家の老人など、一般人に手を出す連中も出てくるだろうと言われています」
強盗は一発で実刑判決を受けるケースが多いため、数千万単位のカネを狙うのが一般的だった。
「今、裏社会の経済は完全に死んでいます。『ここまでカネがなくなると、数百万の端金で無茶なタタキをするヤツも出てくる。気を付けろ』と言われています。バイクを使ったひったくりなど、荒っぽい犯罪も増えるかもしれません」
マスク回収騒ぎの裏で
追い詰められた裏稼業は危険
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