デジタル

2万円台で買えるノートPC「Chromebook」の実力。とにかく軽い!

 「第三のノートPC」が、徐々にではあるがその存在が知られるようになった。WindowsとmacOSの他に、PCのOSなんてあるのか? と思う人もいるかもしれない。が、テクノロジー界隈では「ChromeOS」というものが数年前からダークホースとして認識されているのだ。
テレワーク

テレワークが推進されるなか、ノートPCを買った人も多いはずだ(画像はイメージです)

「そんなのは意識高い系の人々だけの話だろ!」  と、言ってはいけない。むしろ、テクノロジー界隈から程遠い場所で過ごしている人ほどChromeOS搭載のノートPC「Chromebook」と相性が良いのではないか。Windows機種と比べると恐ろしく低価格な上、使い勝手も申し分ない。これ1台あれば、テレワークは十分にこなせるだろう。

ノートPCは「すぐに使えなくなる」は大きな誤解

 ある一定以上の世代に属する人は、「ノートPCは1年もすれば旧式化する」というイメージを抱えていることがある。実はそれが、世代間の情報格差を広げている。  今現在、家電量販店で売っているノートPCも、しばらくすれば新しい機種に交代して数年のうちに使えなくなる。この「使えなくなる」という、非常にざっくりしているが格差の向こう側にいる人々にとっては説得力のあるフレーズこそ、懸け橋の建設を阻害している要因だ。どうせすぐに使えなくなるなら、PCなど大金出して買わないほうがいい……という思考に人を導いてしまう。筆者がとある地方新聞社の高齢記者と話した時、彼がこれと同じ理屈で小学校の「ひとり1台ノートPC導入」に反対していたのには驚いた。残念ながら、日本の情報格差は我々が想像する以上にこの国を蝕んでいる。  それはさておき、「最新のPCは数年経てば使えなくなる」というのは大きな誤解であるし、現在では低性能プロセッサーでも十分な快適性を実現させたノートPCが開発されている。それがChromebookだ。

低性能プロセッサーでも快適操作

Lenovo

画像は、Lenovoの公式サイトより

 このChromebookは、文字通りWebブラウザをGoogle Chrome1本に絞ったものである。  使用者自身がGoogleアカウントを所持し(或いはChromebookを使ってアカウントを作る)、Google Chromeを介して様々なWeb作業を実施する……という前提で設計されている。このChromebookは、一言で表現すれば「軽い」。電源キーを押してから起動までにおおよそ10秒前後、Google Chromeでのブラウジングに特化している分だけメモリもストレージもあまり消費しない。それは即ち、高性能のCPUも大容量のストレージデバイスも必要としないということだ。  だからこそPC自体も低価格で済むし、IntelとAMDのプロセッサー開発競争にもあまり縁がない。物理的な故障がなければ、長く愛用し続けられる製品だ。
価格.com

画像は、価格.comの検索結果より。2万円台(税込3万円程度)からChromebookが見つかる

 価格.comでChromebookを検索してみよう。一番安いものは、何と2万円台である。しかもそれは大手ディスカウントストアが時折発売するような「超激安PC」とは違う。AcerやLenovoといった有名メーカーの、日常利用に耐え得る製品だ。

情報格差を乗り越える一手

 海外では、Chromebookが小中学校のIT教育の主軸に添えられている。最低限の機能を高速起動でき、バッテリー持続時間も長く、低価格。しかもデータは端末内に残さず、クラウド管理される(故に内部ストレージをあまり消費しない)。ソフトウェアのセキュリティー対策はGoogleがOSのアップデートを自動的にやってくれるから、この面で使用者が能動的に行動する必要はない。教育用ノートPCにとっての必要条件が、すべて揃っている。  だがこれは、小中学生に留まる話では決してない。かつてのWindows95ブームにも、そこから起こったインターネットの曙にも、スティーブ・ジョブズの「電話の再発明」にも、そして去年のキャッシュレス決済ブームにも無関心だった人々が、「100年に一度の国際的災禍」新型コロナウイルスをきっかけにIT分野へ目を向けざるを得なくなった。  誰しもが感染対策のためにテレワークやオンライン会議を導入し、さらにはオンライン飲み会というものも行われている。新型コロナがなければ、これらの行為は「意識の高い人々の風習」から発展することはなかっただろう。歴史にはどんな事柄もプラス面とマイナス面があるが、オンラインプラットフォームに対して人々の目が向くようになったのは間違いなく「歴史のプラス面」である。  「人生初のPC」に2万円台のChromebookを選択する、というのは決して悪い判断ではない。税込3万円程度ならあまり大きな買い物ではないし、可処分所得に恵まれない世帯にとってもこれは朗報のはずだ。情報格差はやがて経済格差として個人にのしかかってしまうのは現代社会の特徴でもある。そのような意味合いから、Chromebookは今ある社会問題を解決するかもしれない重要な一手と見なされている。<取材・文/澤田真一>
ノンフィクション作家、Webライター。1984年10月11日生。東南アジア経済情報、最新テクノロジー、ガジェット関連記事を各メディアで執筆。ブログ『たまには澤田もエンターテイナー
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