「コロナ自粛はやりすぎだった」大阪、英国でも第2波に備えて異論が噴出
新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言が5月25日に全面解除されてから、3週間あまり。飲食店などへの休業要請も緩和され、ふたたび街はにぎわいを見せつつあります。
そんななか、今後第2波が来るとしたら、そのときにもまた同じような外出制限を課すべきなのか。そもそも、そうした規制に本当に効果があったのかを検証する動きが見られます。
「効果があった」とする専門家の発言や論文が多くある一方で、「制限が過剰だった」と見る専門家も現れ、意見が分かれているのです。
いま議論を呼んでいるのが、6月12日に開かれた大阪府の専門家会議。出席した専門家から、休業要請と感染抑制の関連について疑問を投げかける発言が相次いだのです。
同日配信の朝日新聞などの記事によると、オブザーバーの宮沢孝幸・京都大ウイルス・再生医科学研究所准教授は、「(感染の)収束は緊急事態宣言後の自粛によるものでないのは明白」と断言。府内の感染ピークは、4月7日の緊急事態宣言にともなう休業要請が出される以前の「3月28日ごろだった」との認識を示しました。
「コロナウイルスの感染は、基本的に咳や唾(つば)による飛沫感染だから、カラオケや飲み会の自粛は重要。だが、マスクをするか沈黙しているなら、通勤電車も問題ないし、ソーシャルディスタンスは必要ない」というのが宮沢准教授の見解なのです。
また、中野貴志・大阪大核物理研究センター長はデータ分析から「クラスター対策は効果的だった」としつつ、「経済を止める必要はない。止めても新型コロナは止まらない」と語りました。
これに吉村知事が同調し、「国をあげて(これまでの対応を)批判的に検証しないと、国として間違った方向にいくという強い危機感を持っている」と語り、今後は社会経済活動とのバランスを取ったうえで、対策をすすめる意向を明らかにしたのです。
吉村知事の発言は、秋から冬にかけて懸念される第2波への対応をめぐり、大きな議論を呼びそうです。
こうした“ロックダウン懐疑論”が、コロナで4万人以上の死者を出したイギリスでもわきあがっている点は、注目に値します。
5月6日にイギリスのイースト・アングリア大学の研究チームが公開した未査読の論文には、<外出禁止は、新型コロナの発生率の減少と相関がなく、むしろ、外出禁止の日数が増えるほど、感染者数は増加した。>と記されていたといいます(欧州30ケ国の感染者・死者数減と、施策との相関を統計的に分析。ニューズウィーク日本版 5月8日)。
専門家の意見が分かれるなか、6月14日にイギリスのジョンソン首相は、「2メートルのソーシャル・ディスタンスを確保する」という規則を見直すことを明らかにしました(同日、ロイター)。科学だけでなく、経済や社会も考えないと、もはや人間の暮らしが持たない、という判断でもあるでしょう。
「ピークアウトは自粛の効果ではない」大阪府の専門家会議
イギリスは「2メートルのソーシャル・ディスタンス規制を見直す」
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