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『半沢直樹』の大ヒットでドラマ関係者が嘆いているワケ

 2013年に放送された第1シリーズの最終回平均視聴率が平成歴代1位となる42.2%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)をマークし、社会現象になったドラマ『半沢直樹』。その続編にあたる『半沢直樹』(TBS系、日曜午後21時~)が7年ぶりにオンエアし、再び大きな話題を博している。
日曜劇場 半沢直樹

画像:日曜劇場『半沢直樹』(TBS)

 新型コロナウイルスの影響による撮影中断もあり、9月6日は急遽「生放送! 半沢直樹の恩返し」を生放送。それでも平均世帯視聴率は22.2%をマークし、初回から8週連続で20%超えを達成。さらにTwitterの世界トレンド1位に2週連続で「半沢直樹」が入るという偉業も成し遂げた。

圧巻の顔芸でTwitter世界トレンド1位も…

 この快進撃を支えている要因として、出演俳優たちの“顔芸”とも評されるオーバーな演技が挙げられるだろう。特に、大和田を演じる香川照之、伊佐山を演じる市川猿之助の顔どころか首筋までも使って感情を表現する演技、前作でもその存在感を遺憾なく発揮した黒崎を演じる片岡愛之助の立ち振る舞いなどに視聴者は夢中になっているようで、SNSでも彼らの演技についてのコメントが乱立。また、今作では個性の強い女性キャストも目立っており、谷川を演じる西田尚美や国交相・白井を演じる江口のりこの“過剰とも言える”迫真の演技が話題を呼んでいる。  その一方で、一部では「顔芸ドラマかよ」「現実感がない」「そこまでしないと視聴率を取れないの?」といった否定的な意見もチラホラと出始めるように――。人気作ゆえに高評価もあれば、アンチコメントが出てくることも仕方ないことなのかもしれないが、テレビ業界関係者は『半沢直樹』の演出についてどう思っているのだろうか?

半沢人気に乗っかって他局でも“顔芸”ドラマが誕生?

 まずは他局のドラマ部で多くのドラマを手掛けている30代プロデューサーのA氏に話を聞いた。 「“顔芸”と呼ばれている演出に関しては見応えもあるし、否定的な感想はないです。ただしドラマ部のイチ社員としては……迷惑を被っていますね(苦笑)。というのも『顔芸やパフォーマンスに特化した重厚なドラマをできないか?』と上層部に促されているからです。『半沢~』でオーバーな演技が成立しているのはトップクラスの俳優陣がいるから。ウチの局でキャスティングできる俳優陣があのような表現力をできるかといえば到底無理でしょうし、やるべきではないと思うのですが……。  “顔芸”と揶揄することは簡単ですが、よくよく見れば意味のあるシーン以外はちゃんと抑揚を付けて演じていらっしゃいますし、非常に巧みなドラマだと改めて感じています。  強いて言えば、賀来賢人さんのような若手俳優たちが、“顔芸”に劣らない凄みのある演技をできるかが心配な部分であり、ラストに向けての見どころだと思います」
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オーバーな演技が求められるワケ
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テレビドラマとお笑い、野球をこよなく愛するアラサーライター。

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