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コロナ禍の転職3か条。勝ち組は一部のみ、危険な転職先とは?

新型コロナの感染拡大から約1年がたつも収束の気配はなく、日ごとに増える倒産、経営悪化、リストラのニュース。「泥舟から逃げ出さなくては!」と焦燥感は募るばかりだが、コロナ禍で転職市場はどう変化したのか? 専門家二人に話を聞いた。

コロナ禍で転職市場はどう変化したのか?

コロナ転職

写真はイメージです

 コロナ禍の転職市場全体の動向はどのように変化しているのか? 人材紹介サービスを行うエンエージェントでマネジャーを務める藤村諭史氏はこう振り返る。 「昨年5月に緊急事態宣言が解除されて以降、回復傾向にあったものの、業績の悪化や先行きの不透明性から採用計画を見直す企業が目立ちました。  ’20年上期の人材紹介大手3社(ジェイエイシーリクルートメント、パーソルキャリア、リクルートキャリア)の集計データを見ても、コロナ禍で転職が決まった人の数は前年比で約2割減と、’08年のリーマンショック以来のマイナス。まさに冷え切った1年だったと言えます」  企業に余裕がなくなるなか、特に打撃を受けたのは「未経験者」、いわゆる「ポテンシャル採用」で、1年で求人件数が激減。
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転職サイト「エン転職」の全掲載求人案件のうち未経験歓迎が占める割合。今後はリモート下での教育体制の確立次第

「欲しいのは本当に能力の高い即戦力だけ」

 しかし一方で、即戦力への需要が高まり、主に35歳以上を対象としたミドル層の求人は堅調だったという。 「昨年1年間を通してミドル層の求人件数が前年同月比割れをした月はなく、全体で見ても案件数は前年比16%増と好調です。業種別に見ると、IT、コンサルティング、建設・不動産の案件数の増加が目立ちました」  一見、喜ばしい状況のように思えるが「そんなに簡単な話ではない」と指摘するのは、人事ジャーナリストの吉田典史氏。 「ミドル層のニーズが高いのは、市場の変化のスピードの速さとコロナ禍による経営難で、人材育成にかける金銭的かつ時間的な余力が企業にほとんど残っていないから。言い換えれば、欲しいのは本当に能力の高い即戦力だけ。  それゆえ、条件の絞り込みをより一層厳しくした“フォーカス採用”に踏み切っている企業も少なくありません。つまり、求人数が増えたからといって、誰もが転職に成功できるわけではありません」
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勝ち組は一部のみ。ニッチ化する採用条件
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