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高松宮記念予想 勝負を左右するのは「長めの距離実績」

安井涼太氏

安井涼太氏

 今週日曜は高松宮記念が行われます。このレースを皮切りに春のGⅠシーズンがスタート。前回配信しましたフェブラリーSでは指数1位のカフェファラオが1着、その勢いで今回も予想の好走を期待したいところです。  なお、私が予想で使用している指数はギア指数と呼んでいて、競走馬を車のギアのように「1速」「2速」「3速」「4速」「5速」と喩え、今回のレースではどのギアが問われるかを予想、分析しています。  1速はいわゆる前半から飛ばして勝負所となる直線で加速せずにバテ合いをいかに凌げるか?というレース展開を指します。反対に5速は道中ほとんど動きがなく、勝負所となる直線に入って大きく加速し、どの馬の最高速度が一番速いか?というレース展開を指しています。3速がちょうどイーブンペースで持続力、2速はややバテ合いのスタミナ勝負寄り、4速はやや直線のスピード勝負寄りというイメージです。適性と能力を同時に評価できるのが当指数の特徴となります。  スプリント戦というと中距離や長距離レースと比較してあまり適性を語るケースは多くありません。ですが、実は1200mという短い距離においても問われる適性は異なります。 今回はそういったお話ができればと思っています。

同じスプリントGⅠでも異なる適性が問われる

JRAのGⅠにおいて、スプリント戦が行われるのは今回の高松宮記念と秋のスプリンターズSの2つ。 しかし、この2レースを同じように考えてはいけません。実際、過去にこの2レースを連覇した馬は中京競馬場の改修工事後で2018年ファインニードル、2013年ロードカナロアしかいません。連続好走するケースも少なく、例えば2017年に勝利し2019年にも2着に好走したセイウンコウセイはスプリンターズSでは最高でも11着。特にその傾向は近年強く出ており、競走馬の能力差が少なくなった昨今ではより「適性」という微差が大差になるケースが多く発生しています。  では、なぜこのような現象が起こるか。それはコース形態が影響していると言えるからです。高松宮記念が行われる中京競馬場もスプリンターズSが行われる中山競馬場も直線に坂があるという点では同じですが、直線の長さに大きな違いがあります。前者は412.5mとJRAでも屈指の直線の長い競馬場ですが、後者は310mとJRAでも短めの分類になる長さしかありません。  それに加え、コーナー半径にも異なる要素が含まれており、中京競馬場は直線が長い分、コーナー半径は小さく急カーブという性質を持っています。一方で、中山競馬場は直線が短い分、コーナー半径は標準程度で、1200mは外回りで行われるという性質上、3コーナーまではかなり緩やかなカーブを描いています。 さらに、中京競馬場はスタートから最初の1ハロンは上り坂。2ハロン目には下り坂がありますが2mほどで、スタートから3コーナーまでに4mほど下る中山競馬場と比べると大きく異なる事がわかるでしょう。  つまり、中京競馬場はスタートから最初の1ハロンが上り坂でスタートダッシュが付きにくく、かつ下り坂も2mほどで急カーブの最中。さらに直線も長いため、スプリント戦としては前半息の入るペースになりやすく、直線でギアを上げやすいコースとなります。  逆に中山競馬場はスタートから下り坂でコーナーも緩くダッシュが付きやすく、前半からフルスロットルである事と短い直線という事でギアを上げるシーンがなくレースが終わりやすいコースになります。

長めの距離での実績が必要か

 このように異なる適性が問われるため、春秋スプリントGⅠを共に好走するには相応の能力が必要というわけです。そのため、わかりやすい傾向として高松宮記念の勝ち馬にはビッグアーサー(2016年)やミスターメロディ(2019年)、また降着とはなったものの1着入線のクリノガウディー(2020年)には1400m以上の実績がありました。 高松宮記念の平均ラップ スプリンターズSの平均ラップ スプリント戦としては追走にやや余裕があるので、長い直線で末脚を活かすことが重要となります。そしてこの資質は生粋のスプリンターには体得できない能力。そのため、長めの距離での実績が結果につながりやすいというわけです。
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高松宮記念の注目馬
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各種メディアで活躍中の競馬予想家。新刊『安井式上がりXハロン攻略法(秀和システム)』が11月15日に発売された。『競走馬の適性を5つに分けて激走を見抜く! 脚質ギアファイブ(ガイドワークス)』『超穴馬の激走を見抜く! 追走力必勝法(秀和システム)』、『安井式ラップキャラ(ベストセラーズ)』など多数の書籍を執筆。
Twitter:@RyotaYasui

安井式上がりXハロン攻略法安井式上がりXハロン攻略法

(秀和システム)


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