「天文学者の99%は地球外生命の存在を確信している」国立天文台教授が断言する理由
この十数年間で、「系外惑星」と呼ばれる太陽系の外にある惑星の発見や、火星移住や月面旅行などの話題がメディアを騒がせている。夢物語と考えられてきた宇宙移住や宇宙人の存在について、専門家はどう考えているのだろうか。そこで、歴史上初のブラックホールの撮影に成功したEHTプロジェクトの日本チームリーダーであり、『宇宙の奇跡を科学する』を上梓した国立天文台水沢VLBI観測所の所長である本間希樹氏に、宇宙移住の可能性や宇宙人の存在について聞いてみた。
近年、太陽系外にある「系外惑星」の発見が相次いでいる。現在、見つかっている系外惑星の中には、重さや大きさが地球に近く、生命が誕生するのにちょうどよいとされる「ハビタブルゾーン」に位置する惑星も見つかりつつある。地球にそっくりな「第二の惑星」が見つかるのも時間の問題と言われるなか、これらの惑星の発見に、つい頭に浮かぶのが「宇宙移住」だ。第二の地球が発見された場合、地球人がその星に移住することは可能なのか。本間氏はこう語る。
「移住は、まだまだ難しいですね。一番の理由は、『遠さ』です。せっかく環境のよさそうな惑星を見つけても、問題はその星が地球から100光年、場合によっては1000光年も離れていることです。人類はこれまで光の速さで1秒の距離にある月に到達するのがやっとで、最接近時に光の速さで4分の距離にある火星にすらまだ行けていません。ですので、移住先として理想的な星を見つけたとしても、光の速さで100年、1000年かかる距離に辿り着けるかは、まだまだ分からないです」
実際、人類が作った無人の探査機でも太陽系の外に出るところまで至っていないのが現状だ。さらに、そこに人間を乗せていくとなると、生命活動の維持のために水や空気、食糧をどう確保するのかが大きな課題となってくる。
「何年間も人間が生きながらえるための膨大な量の水や食糧をロケットに詰め込むのか。はたまた、ロケット内で何かしら水や食糧を生産するシステムを開発するのか。もちろん、何百年という長きに渡って飛び続けられるロケットを作るには、燃料開発という課題もあります」
多くの課題があるなかで、本間氏がひとつの可能性として挙げるのが、人体の冷凍保存技術だ。
「人体の冷凍技術を開発して、何千年も眠ったまま、どこかの星に送り込む。そして、目的地についたら、解凍されて目を覚まして活動する。これが、個人的には一番現実的な方法なのかなと思います。しかし、こんな技術が開発される日が本当に来るのかはわかりません。私自身は、まだまだほかの星へ移住することは、遠い夢だと感じています」
宇宙移住の一番のデメリットは「遠さ」である
人体の冷凍技術が進化すれば、宇宙移住も可能になる?
『宇宙の奇跡を科学する』 宇宙の謎を“科学的に”ガッツリ解説! 写真や図入りなので、中高生・理科や数学が苦手な人にも読みやすい! |
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