コロナ移住失敗組の憂鬱。リモートワーク縮小で「引っ越さなければよかった……」との声も
週刊SPA!ではたびたびコロナ禍による郊外への移住ブームを取り上げてきたが、リモートワークが縮小傾向になるなか、早くも移住を後悔し始めた人も少なくない。当事者たちに話を聞いた!
コロナ禍によるリモートワーク普及で、にわかに巻き起こった近郊への移住ブーム。総務省の住民基本台帳人口移動報告によると、昨年の東京都からの転出者数は4.7%増の約40万人。前年より増えたのは全国で東京都だけだった。
メディアも頻繁にコロナ移住を取り上げるなか、2月にライフルホームズが発表した「借りて住みたい街ランキング」では神奈川県・本厚木がトップに。さらに大宮、葛西、八王子と郊外に位置する街が続いた。
しかし、移住を実行した人のなかには早くも後悔している人も少なくないようだ。昨年秋、東京・世田谷区から神奈川県秦野市に移住した会社員の男性(30代)はこう語る。
「移住のきっかけは、昨年秋に人事部から『4月までには出社率を4割未満にする』と通達されたこと。週1~2回なら1時間半の電車通勤でも苦じゃないと思った。しかし今、出社率は7割程度。家庭に居場所のない40~50代の中間管理職が意味なく出社するので、部下の私たちも週4回は出社しないといけない雰囲気です。ワクチンが広まればリモートワークはさらに縮小されそうなので、都心に戻ることも考えています」
昨年9月に、都心から三浦半島に移住した会社員の男性(30代)も当てが外れたようだ。
「京急の三崎口駅は始発なので座れるのはいいのですが駅までが遠く、バスと徒歩で30分以上かかる。昨年まで週2出社だったのでよかったですが、年明けからリモートワークが縮小され、週3~4回は出社に。電車も最近は明らかに混雑していて、感染リスクも移住前より高くなっていますよ。引っ越さなければよかった……」
リモートワークの縮小はトレンドとなっている。パーソル総合研究所が、全国の正社員2万人を対象に過去4回にわたって行った調査によると、週1回以上のリモートワークを実施している正社員の割合は、1回目の緊急事態宣言の前後で倍増し27.9%に。
ところが解除後と、第3波真っただ中では減少し続けているのだ。同研究所の上席主任研究員・小林祐児氏は「リモートワークの波は徐々になくなる」と見ている。
「日本の会社組織では、役割分担の境界線が曖昧で、日々のコミュニケーションのなかで『この案件は〇〇さんがここまでやって』と調整されることが多い。手が空いた人がそうでない人を補うなど柔軟に対応できる利点がある半面、リモートワークには向いていない。コロナ禍が収まればマスコミも取り上げなくなり、残念ながら数年後には『そんな言葉あったね』ということになっているでしょう」
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