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もしかして私ってストーカー? 粘着LINEを送り続けた女性に対する弁護士の答え

自分はストーカーかも……

ストーカー

写真はイメージ

 知人の30代女性からこんな相談を受けた。数年前に関係があった男性に確認したいことがあって会う約束を取り付けたところ、「急な仕事が入った」の常套句で約束をすっぽかされてしまった。ただ“説明”を求めているだけという真面目な彼女はその後も連絡を入れ続けたが、相手は完全無視。  イライラして「クズ」とも送ってしまった。しかし、既読スルーと発信履歴が続くiPhoneの画面を見て、彼女はふと冷静になる。「もしかして自分はストーカー?」と。  そもそも現代は、何かあれば簡単に「それ、ストーカーでしょ! キモい」と言われやすい。法律上の線引きはどうなのだろうか。男女間のトラブルに強い、銀座さいとう法律事務所の齋藤健博弁護士に話を聞いた。

ストーカーに「定義」はあってないようなもの

 ストーカーと聞くと、つきまといやしつこい電話などが思い浮かびます。しかし、そもそもの話、法律的にストーカーの定義はあるのでしょうか。 「ストーカー規制法の対象になるのは、つきまとい・待ち伏せ・押しかけ等、監視していることの告知、面会・交際の要求、乱暴な言動、無言電話・FAX等です。しかし実際は、定義があってないようなもの。自分がストーカーになろうと思ってやってる人間はまずいませんし、誰でも加害者になる可能性があります。  さらにいうと、加害者にしたてあげられることもあるし、『しつこいな』と思いながら対応をしていることが実はストーカーの被害になるかもしれません。加害者側の認識として、(男女の)関係が切れて『なんで、なんで?』となったのが暴走していくことがあります。本人にストーカーの認識はないのですが、被害者から見ればストーカーになりえます」  なるほど。定義があってないようなら、極端な話、あれもこれもストーカーになりそうだ。では、ストーカーになる人、行為をしてしまう人はどんな人が多いのだろうか。一般的に、ストーカーになる人は自分の中で相手の気持ちなどを勝手に解釈して物語を作り上げている人が多いように感じるのだが……。 「そちらを報道されることが多いが、実態は逆です。例えば話し合いを重ねている状態で、めんどくさくなった側が『これはストーカーだ』と言い出す局面がすごく多い。一度話し合いをしようとか、家の近くまで行きますといったLINEをうまく切り取って、なんでもストーカーに当てはめられてしまう。そういう主張をされがちなのは、だいたい地位のある人ですね。あとは、ストーカーに仕立て上げることが慣れている人は一定数います」
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弁護士に相談する加害者
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