「考えているとサボリ扱い」される職場の立ち回り方。知的労働で求められる価値観とは
テクノロジーが進歩した結果、知的労働に従事する人が増えた。ただ、「身体を動かしているかどうか」「汗をかいているか」という軸で仕事の頑張りを評価する人は一定数いる。そのため、どれだけ頭を働かせていてもサボリ扱いされてしまい、モヤモヤ感を抱いているビジネスパーソンは珍しくない。
そこで『エンゲージマネジメント 本当に愛される職場のつくり方』(ぱる出版)の著者で、中小企業診断士の清水康裕氏に「考え中=サボり」と思われないため働き方について話を聞いた。
まず、「考え中=サボり」という空気感について、「昔から変わらず多くの企業で、手を動かしていなければサボリとみなすような傾向がありました。ただ、SNSなどで情報収集・発信がしやすくなったため、ここ最近になって顕在化しやすくなったように感じます」と説明。
次に職場では「考え中=サボり」という風潮が根強い理由を聞いた。
「自由な発想で考えて企画したものが承認された経験が少なく、『あの時たくさん悩んで良かった』と思った経験のあるビジネスパーソンがあまりいないことが挙げられます。その背景には、新たな企画や仕事のやり方は『これまでの自分がやってきたことが否定されてしまう』『変化についていけないとふるい落とされる』という感覚があるため、自由だったり新しかったりするアイデアが一蹴されやすい構造があることが大きいですね」
そして「考え中=サボり」と捉える人の特徴を聞くと、「自分が仕事を覚えたプロセスをすっかり忘れてしまった人が挙げられます」と解説。
「部下が考えている際には『効率的に働いていない』と解釈し、先回りして答えを提示してしまいがち。自分がわかっていることをいつまでも考えている、つまりは“効率的に働けていない人”と認識され、サボりと思われてしまいます。そういう人がいる職場では、考えるという習慣が根付きません」
また、「考える=サボり」という風土が根強い企業について、「部下の指導が、業務に必要なスキルを実践しながら伝える『OJT』のみの職場では、自分自身が部下の時にどのように仕事に取り組んでいたのかを上司側が思い出す機会がありません。そのため、先述した先回りして答えを出す人が生まれやすいです」という。
続けて、「トップダウン型の企業もその傾向があります」と話す。
「『上の意向が絶対』という価値観が蔓延していれば、どれだけ秀逸なアイデアが生まれても承認されにくい。そのため、考えること自体が馬鹿馬鹿しくなり、考えている従業員が少数派になるため、考えるという作業が定着しません。とりわけ、上司を“上の人”と呼ぶ職場では、風通しが悪く『上の意向が絶対』という認識を強いです。それにより、考えることよりも身体を動かして“仕事しているアピール“に励むようになります」
昔からあった現象
考えて成長したことを忘れている
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