ニュース

ネコ型配膳ロボット、導入時の苦労のすえにつかんだ「客と従業員のホントの評価」

 ここ数年、ファミリーレストランで「ネコ型配膳ロボット」をよく見かけるようになった。  事実、すかいらーくグループは2021年8月に導入したロボットを2022年12月27日までの約1年半の間で全国約2,100店舗(3,000台)にまで急拡大させている。  新しい挑戦には、反対の声やハードルもあったはずだ。導入の経緯と反応を、同社のロボット導入責任者に聞いた。

なぜ「ネコ型配膳ロボット」は導入された?

 導入直後は、ロボットが料理を乗せて店内を動き回ることに、不安を覚えた人も多いのではないだろうか。そもそも、なぜ同社はこのロボットの導入に踏み切ったのか。   「すかいらーくグループでは、ITデジタルを活用した顧客満足度の向上や従業員の働きやすい環境整備に取り組んできました。2017年のセルフレジ試験導入にはじまり、2019年よりキャッシュレス決済の推進、2020年には客席にデジタルメニューブックの設置をしています。その一環として配膳ロボットの配備があったんです」    あらゆる業種で人手不足が叫ばれる昨今。人の仕事をデジタルツールに代替させる取り組みは多くの企業にとって喫緊の課題となっている。配膳ロボットはその対策に一役買っているのだ。    また、「人の仕事の代替だけではなく、ロボットは料理を一度に多くを運べるので、サービス全体の効率化にも寄与していて、顧客満足度の向上にもつながっています」というから、まさに一石二鳥の試みといえる。  

導入までには様々なハードルも

 もちろん、新しいものを導入するにあたってはクリアしなくてはならないハードルがいくつもあったことが推測される。一体どんな苦難があったのか、担当者は次のように話す。   「店舗によってレイアウトが異なるため、店舗ごとに設定をする必要がありました。また、従業員なら通行に問題のない数ミリの段差でも、ロボットだと場合によっては汁物がこぼれることがありました」    こうしたことを受けて、業態転換や店舗改装時には段差をなくしたり、新店オープンの際にはロボットの通行に配慮した作りにしたという。それでも導入後、利用者からは意見を寄せられることもあったという。   「常連のお客様から、従業員とのコミュニケーションを大事にしたいという声がありました。そうしたお客様には、ロボットではなくスタッフが料理提供をしたりロボットの提供をサポートするなどして対応しています」    さらに、ロボット導入インストラクターを育成し、各店舗の導入開始日にインストラクターが店舗に出向いているという。   「インストラクターは、店舗のレイアウトや従業員の作業動線などを考慮して、ロボット設定の取引先様との打ち合わせからよりよい設定をし、従業員への正しい使用方法を教えるトレーニングを実施しています」
次のページ
ハードルを乗り越えた先で
1
2
3
Boogie the マッハモータースのドラマーとして、NHK「大!天才てれびくん」の主題歌を担当し、サエキけんぞうや野宮真貴らのバックバンドも務める。またBS朝日「世界の名画」をはじめ、放送作家としても活動し、Webサイト「世界の美術館」での美術コラムやニュースサイト「TABLO」での珍スポット連載を執筆。そのほか、旅行会社などで仏像解説も。

記事一覧へ
おすすめ記事
ハッシュタグ