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「戦時下のウクライナ」旅行作家が見た日常。現地では観光ツアーも

 ロシアによるウクライナ侵攻が2022年2月24日に開始。あれから1年以上経過したが、現在も終わりが見えない状況である。  旅行作家の嵐よういち氏が新刊『ウクライナに行ってきました ロシア周辺国をめぐる旅』(彩図社)を出版した。そこでは、彼が2022年7月より戦時下のウクライナを含むロシア周辺国を“一般旅行者”として訪れたときの出来事がつづられている。世界中の危険地域を渡り歩いてきた嵐氏は、戦争中の国で何を見たのか?(記事は前後編の前編)

ウクライナに入れた時点で「ちょっとホッとした」

ウクライナ

ルーマニアとウクライナに架かる橋

——嵐さんは旅行作家としてこれまでにアフリカや南米の治安の悪い地域にもよく行かれていたようですが、今回のウクライナのように戦争中の国を訪れたことはあったんですか? 嵐よういち(以下、嵐):細かく言うとないことはないけど、今回のようにわかりやすい形の戦争地帯に足を踏み入れたのは初めてかもしれないですね。 ——行くときに不安や怖さはありませんでしたか? :あんまりなかったですね。最初にルーマニアから国境を越えてウクライナに入るじゃないですか。そのとき、係官に日本のパスポートを見せながら「(ウクライナに入るのは)危険ですか?」って一応聞いたんです。でも、そこで笑いながら「なんでそんなこと聞くんだ」って言われたんです。そのぐらい緊張感がなかったので、そのときは大丈夫だと思っていました。 正直、そういう怖さよりも、入国できなかったらどうしよう、面倒臭いな、という気持ちの方が強かった。確実に入れるとは限らないわけだから。入れなかったら本の企画は大丈夫か、とか思って。だから、無事にウクライナに入れた時点でちょっとホッとしたというか、ひと仕事終えたような感じでした。

初めて生で聞く「空襲警報」に緊張…

リビウ

リビウの通称“噴水広場”の平和なひと時。これだけ見ると戦争している国とは思えない

——でも、現地のリビウのホテルで夜中に空襲警報が鳴ったときには少し怖さを感じたそうですね。 :2回目の空襲警報のときはちょっと怖かったです。1回目は何が何だかわからないし、別に大丈夫なのかな、と思っていたんだけど、その20分後に2回目が鳴ったときには少し焦りました。これ、(戦闘機が)編成を組んで来てるんじゃないのか、って。 日本のテレビ局のスタッフやジャーナリストが泊まっているような大きいホテルには、地下にシェルターがあるんですよ。でも、俺がいたのは安くて小さいホテルだったから、どうしようかなと思って。そのときにちょっと怖いというか、ひょっとしたら死んじゃうのかな、みたいな感じはありました。 5〜6分で空襲警報は止まったんだけど、人間の体っておかしなもので、体が疲れているのに頭が興奮して眠れなくなっちゃったんですよ。強い酒でもグッと飲みたいと思ったけど、酒もないし、店もやっていないし。しばらく寝られないから変な感じがしました。 ——嵐さんは今までに危険地帯と言われるような場所には何度も行かれていると思いますが、やはりそれとは別の緊張感があったんですね。 :空襲警報っていうのを初めて聞いたからね。普通の治安の悪い地域っていうのは、どういう危険があるかっていうのがまあまあ察知できるじゃないですか。今回は初めてだったので、どういうことになるのかわからなくて、その後しばらくは夢の中でも鳴っているみたいな感じでした。 ——現地の人にとってはよくあることなので、空襲警報が鳴ってもそんなに焦ったりしないみたいですね。 :あとから聞いたらみんなそんな感じなんだって。いちいちそんなことで反応していたら生活ができないから。
観光ツアー

リビウの街中。「ウクライナ国内からの観光客が訪れ、ツアーもしていることに驚いた」と嵐氏

——それ以外に、ウクライナで戦争の雰囲気を感じたりしたことはありましたか? :普段と違うことは、やっぱりリビウの街中にも兵士が多かったですね。普段の様子を知ってるわけじゃないけど。それ以外は結構普通ですよ。キーウの市街地でも観光ツアーをやっていたりしますからね。あれには結構驚きました。そこに参加しているのは国内から来ている人なんだけど。 ——国全体が戦争中でも、場所によって温度差は結構あるということなんですね。 :そうですね。あとは店が閉まるのがちょっと早いとか、そのぐらいかな。
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ウクライナ人はめちゃくちゃ怒ってる
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お笑いやテレビに関する評論、執筆、イベント企画などを手掛ける。『教養としての平成お笑い史』など著書多数。近著は『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで

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ウクライナに行ってきました ロシア周辺国をめぐる旅

ウクライナ侵攻から約半年後のウクライナ、そしてロシア周辺国をめぐる、旅行作家・嵐よういちの最新作!
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