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睡眠習慣の乱れ、食欲低下…“燃え尽き症候群”を引き起こす「慢性的なストレス」11の兆候

 ブラック企業にハラスメント……いつ巻き込まれてもおかしくない昨今。常に安定したメンタルを維持することはサラリーマンに欠かせない要素である
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※画像はイメージです(以下同じ)

 今回は、多忙なサラリーマンのためのメンタルヘルス対策について、心理学者にして臨床心理士であるジュリー・スミス博士の著書『一番大切なのに誰も教えてくれない メンタルマネジメント大全』(野中香方子・訳/河出書房新社)より抜粋して紹介します(以下、同書より抜粋)。

長期的なストレスに気をつける

 ストレス反応は、短期間で限定的なら最善の働きをする。しかし、環境が絶え間ないストレスをもたらし、自分ではその状況を変えることもストレスを軽減することもできない場合、体はエネルギーを使い果たしてしまう。ギアをセカンドに入れたまま高速道路を走るようなものだ。じきに車は故障する。  ストレスが長く続くと、脳はエネルギーをあまり必要としない習慣的な行動を好むようになる。その結果、衝動を抑えたり、情報を記憶したり、意思決定したりする能力は弱まる。やがて免疫システムにも影響が及ぶ。短期的には、アドレナリンは免疫機能を高め、体が細菌やウイルスと戦うのを後押しする。しかし長期的には、アドレナリンの過剰分泌とコルチゾールの異常なパターンは、寿命の短縮につながる(Kumari et al., 2011)。  慢性的にストレスを受けている間、アドレナリンは継続的に分泌され、免疫システムを支援している。そして、わたしたちが立ち止まると、アドレナリンの分泌は止まり、免疫システムも弱くなる。何か月も昼夜なく働き通した人がようやく休暇をとった途端、病に倒れる、という話をよく聞くのはそのせいだ。

ストレスが引き起こす「燃え尽き症候群」

ジュリー・スミス

ジュリー・スミス著『一番大切なのに誰も教えてくれない メンタルマネジメント大全』(野中香方子・訳/河出書房新社)

 燃え尽き(バーンアウト)症候群は、仕事上の過度なストレスや長期的ストレスによってもたらされる。もっとも、それをもたらすのは仕事だけではない。介護、育児、ボランティアに従事する人も、そうなる可能性がある。  燃え尽き症候群になった人は自らの状態を、精神的に疲弊し、くたびれ果て、力はまったく残っていない、と表現する。また、他の人や自分自身から切り離されているように感じることもある。さらには、職場や家庭で能力の欠如を感じ、かつてのような達成感が得られない、と訴える。  燃え尽き症候群は、短期的なストレス反応が長期にわたってたびたび引き起こされ、その間に十分な休息や回復の機会が得られない場合に生じやすい。次に挙げるような慢性的な不足や衝突が見られる。 【1.コントロール】  要求に応えるために必要なリソースの不足。 【2.報酬】  給与などの不足。あるいは仕事であれ他の状況であれ、社会的認知や価値観の承認という形での報酬の不足。 【3.コミュニティ】  好ましい交流や社会的支援や帰属意識の不足。 【4.公平さ】  このリストのいずれかの要因に関する公平さの不足。ある人のニーズが他の人のニーズより満たされているなど。 【5.価値観】  要求されることが自らの価値観と衝突する。
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現実的でありつつ問題に対処する
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心理学者・臨床心理士。オンラインでの発信やカウンセリングが人気を博し300万以上のSNSフォロワーを持つ。心理学・精神医学に基づく適切な知識を動画でわかりやすく届ける活動はBBC等にも取り上げられる。著書『一番大切なのに誰も教えてくれない メンタルマネジメント大全』(野中香方子・訳/河出書房新社)

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一番大切なのに誰も教えてくれない メンタルマネジメント大全

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