なぜ人生が幸せに感じない?目標よりも大切な「価値観の話」
ブラック企業にハラスメント……いつ巻き込まれてもおかしくない昨今。常に安定したメンタルを維持することはサラリーマンに欠かせない要素である。
一番大切なのに誰も教えてくれない メンタルマネジメント大全』(野中香方子・訳/河出書房新社)より抜粋して紹介します(以下、同書より抜粋)。
セラピーで進むべき道に光を当て、どうしたいかを考える段階になると、少なからぬクライアントが「わたしはただ幸せになりたいだけです」と言う。
彼らがそう思うのも無理はない。実のところ、幸せという概念は長年にわたって「喜びと満足に溢れた人生」という捉えどころのないおとぎ話に乗っ取られてきた。ソーシャルメディアにも、「ポジティブになろう、幸せになろう、人生からネガティブなものを追い出そう」と語りかける投稿が溢れている。
わたしたちは、「幸せが標準であり、そうでなければメンタルヘルスに問題がある」とか、「物質的な豊かさを手に入れれば、幸せになれる」と思い込まされている。
だが、人間は常に幸せでいられるようにはできていない。生存を脅かす難題に対処するようにできているのだ。感情は、わたしたちの体の状態、行動、信念、周囲で起きていることへの反応だ。それらはすべて常に変化している。したがって、常に変化しているのが正常な状態なのだ。
ラス・ハリスは著書『幸福になりたいなら幸福になろうとしてはいけない』において、感情は天気のようなものだと述べている。感情は常に動き、変化し、予測できるときもあれば、突然、生じるときもある。感情は常にわたしたちの経験の一部だが、天気と同じように、ある瞬間は心地よいが、ある瞬間は耐え難い。非常に曖昧で簡単には説明できないときもある。このように感情が不確かなものである以上、末長い幸せなどというものは存在し得ない。
わたしたちは幸せで充実した人生を送りながらも、人間としてさまざまな感情を経験する。幸せとは常にポジティブであることだと思い込んでいると、気分が沈んだときに自分は敗者だという思いにとらわれてしまう。自分が道を踏み外しているように感じたり、メンタルヘルスに問題があるのではと恐れたりする。
今回は、多忙なサラリーマンのためのメンタルヘルス対策について、心理学者にして臨床心理士であるジュリー・スミス博士の著書『
「幸せになりたいだけ」に関する問題
人間は常に幸せではいられない
心理学者・臨床心理士。オンラインでの発信やカウンセリングが人気を博し300万以上のSNSフォロワーを持つ。心理学・精神医学に基づく適切な知識を動画でわかりやすく届ける活動はBBC等にも取り上げられる。著書『一番大切なのに誰も教えてくれない メンタルマネジメント大全』(野中香方子・訳/河出書房新社)
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