更新日:2023年03月31日 19:46
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脂肪がどんどんたまる“メタボ炎症”の恐怖。「最近、痩せにくくなった」は危険信号?

中高年が悩む「痩せにくくなった」の正体とは

ダイエット

ダイエットしてもお腹まわりがスッキリしない…

 ぽっこりお腹が気になる、ウエストがきつくなったーー一念発起して食事制限や運動を開始するもなかなか体重は落ちてくれず、「体重計に乗るのが怖い」とダイエット自体を挫折することに…。 食事を数日減らしてスポーツで汗を流せば体重がストンと落ちたのは若い頃ーーダイエットに疲れてお腹まわりが気になっても「年をとって基礎代謝が落ちただけで肥満や脂肪肝、糖尿病も軽いから元気だ。そのうちなんとかなる。見ないことにしよう」と片付ける中高年は多いだろう。が、「『軽い変化』を甘くみると慢性炎症の一つである万病の元になるメタボ炎症を放置することになります。ぜひ体づくりの良いきっかけにしてほしい」と励ましてくれるのは、あきはばら駅クリニック院長の大和田潔先生だ。

メタボ炎症が“負のスパイラル”を加速させる

「メタボ炎症」とは聞き慣れない言葉だが、大和田先生は「医学的に“慢性炎症”といわれるもののうちメタボによって引き起こされるものを便宜的にそう呼んでいます。加齢による慢性炎症は“加齢炎症”と呼ばれる自然なものです。一方で過剰な脂肪の蓄積によりおこる慢性炎症である“メタボ炎症”はできるだけ解決した方が良いものです。生活習慣病で引き起こされるメタボ炎症は自覚症状がないまま炎症が慢性的にくすぶるもので、さらなる肥満を悪化させたり動脈硬化や糖尿病を悪化させたりして万病の元になるのです」と続ける。 「人間の体には80兆個の細胞があり、常に機能する正常な細胞で置き換えられて健康な状態を保っています。体では古くなったり異常な細胞は取り除かれる反応が常に起きています。肥満による過剰な脂肪細胞は異常な状態なので、取り除こうとする炎症反応が慢性的にいつもひきおこされるようになります」  過剰な脂肪細胞が引き起こすメタボ炎症。慢性的な炎症反応→余分な脂肪細胞の除去→正常な体の維持…であれば願ったり叶ったりのようにも思えるが、残念な結果に。 「脂肪組織はもともと健康維持に必要なホルモンを分泌する組織です。たとえば食事をとると食欲を低下させるホルモンを放出して食欲を調節しています。けれども過剰に脂肪が蓄積するとこの食欲低下ホルモンの働きが落ち食事量がさらに増える“肥満の負のスパイラル”に突入します。また炎症はインスリンの効きを悪化させインスリン抵抗性を上昇させます。食欲にブレーキがかからないうえに細胞内に栄養を取り込むインスリンが慢性的に高くなると、体に脂肪がどんどん蓄積され肥満も糖尿病も悪化するという悪循環の状態に。つまりメタボ炎症は食欲のブレーキを外し、太りやすい体質に変えてしまうのです。慢性炎症には薬がありませんが、日頃から食事と運動を気をつけることで解決していくことができます」  だからといって食事を抜く無理なダイエットは禁物だ。「食事を抜くと代謝が落ちるうえに筋肉が減ってしまいます。代謝が落ちて筋肉が減少した体にリバウンドで食事量が増えると、さらに脂肪が多くなりメタボ炎症が悪化してしまいます。時間をかけて適切な食事管理をしながら運動をしていくことが負のスパイラルから脱出し体の正常化に導きます」とのこと。私たちがメタボ炎症から離脱する簡単な方法はないのだろうか?
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厄介なメタボ炎症、日常からできる対策とは?
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