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過去には162万馬券が飛び出す大波乱も。予想のヒントが隠れた「皐月賞」3選

スリリングなレースが多い皐月賞

競馬

2012年の皐月賞は、4コーナーで“ワープ”したゴールドシップが優勝 
写真/橋本健

 古くから伝わる競馬格言のひとつに「皐月賞は一番速い馬が、ダービーは一番運のいい馬が、菊花賞は一番強い馬が勝つ」というものがあります。  おそらく「ダービーを勝つことの難しさ」を強調するために生まれた格言だと思うのですが、実際にはダービーは直近10年で6番人気以下の馬が勝利したのは19年のロジャーバローズ(12番人気)だけ。対して皐月賞では16年ディーマジェスティ(8番人気)、17年アルアイン(9番人気)、18年エポカドーロ(7番人気)と3頭も人気薄が勝利を収めています。ダービーでは能力上位の馬が順当に勝ち切り、皐月賞の方が混戦で、どの馬が勝つかわからないというのが現実なのです。  その原因は中山芝2000mという皐月賞が施行されるコースにあるのでしょう。小回りでゴール前直線は310mと短く、それでいて高低差5.3mという起伏に富んだトリッキーさ。先行力だけでも、瞬発力だけでも押し切れない絶妙なコースレイアウトのため、過去の皐月賞は映像的にも面白い、スリリングなレースがたくさんあります。  そこで今回は、レースVTRを観てもらいたい皐月賞3選をお伝えします。そこには、今週末に行われる第83回皐月賞のヒントも隠れている……はずです。

2007年 これぞ絵に描いたような前残り

 最初にご紹介するのは2007年の皐月賞です。このレースで1番人気に推されたのはシンザン記念→弥生賞を連勝していたアドマイヤオーラ、2番人気はデビューから4戦無敗のフサイチホウオー。武豊と安藤勝己という名手が騎乗する素質馬が人気を二分していました。  しかしレースは17番枠からスタートしたヴィクトリー(7番人気)が1コーナー過ぎで先手を奪うと、2番手から追ってきたサンツェッペリン(15番人気)をハナ差制して逃げ切り勝ち。馬連94630円、3連単は162万馬券という大波乱となりました。後方から追い上げたフサイチホウオーアドマイヤオーラは3着、4着まで。  まさに小回り中山らしい前残り決着で、翌年もまた、7番人気のキャプテントゥーレが逃げ切り勝ちを収めています。  やはり3歳馬にとって最大の目標はこの後のダービーなので、ダービーを狙える素質馬ほど、皐月賞ではしっかり脚をためる傾向があります。それゆえに、皐月賞に全力投球の馬、あるいは逃げ戦法を確立している馬が波乱の立役者になるのです。   今年のメンバーなら、直近2戦で逃げ戦法に出ているグラニットがその候補でしょうか。
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2012年 最後方から先団への“ゴルシワープ”
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馬券攻略誌『競馬王』の元編集長。現在はフリーの編集者・ライターとして「競馬を一生楽しむ」ためのコンテンツ作りに勤しんでいる。
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