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個人飲食店を悩ます“メーワクな一見客”の実態。メニューにない商品を注文、断ると激怒…

 醤油差しを舐めたり、勝手に食べ物を食べるなど、チェーン店系飲食店における迷惑客の“テロ行為”が問題となったが、飲食店にとっての迷惑客はこうした“映える”ものばかりではない。飲食店で働く人たちが目の当たりにした呆れた迷惑客の話を紹介していこう。

食べながらの実況する迷惑ユーチューバー

町中華

写真はイメージです(※以下同)

 都内でいわゆる“町中華”を営むAさんは、昨今の町中華ブームによって客足が増えたことにうれしさと共に戸惑いを感じている。 「ウチなんか昔っからの中華料理屋で狭いし、たいしてキレイじゃないし、食材もそんなにこだわりはないし、俺もオヤジから継いでやってて有名な店で修行もしてない。数年前まで地元の人しか来ないような店だったの。それがさ、最近は“そういうのがイイ!”って人が増えて、お客さんも増えたんだよ。売上? そりゃ上がったから嬉しいけど、ちょっと変な人も増えちゃったりもしてね……」  駅からは歩いて15分の住宅街にあり、地元の人しか来ない店だったにもかかわらず、ここ数年の町中華ブームによってAさんのお店には週末になるとわざわざ遠方から来る客もいるという。Aさんを悩ませるのは、そんなファンに混じってやって来るYouTuberなどの存在だ。 「動画や撮影はいいんだけど、撮りながら実況とかされるとほかのお客さんはギョッとしちゃうんだよ。俺はいいけど、他のお客さんはイイ顔しないからヤメてって言ってる。入ってくるなり、メニューにスマホを向けて『壁に掛かってるメニューから年季が感じられますね〜。ここのイチオシはラーメンとチャーハンのセット』って実況が始まって、ラーメン食べながら『あぁ〜懐かしい』って。お前初めてだろ、ウチ来たのはって(笑)」

自撮り棒で厨房の撮影を始める人も

 さらにAさんは、無許可で厨房までズカズカと入ってくる迷惑なYouTuberに対しても苦言を呈した。 「一度、断りもなくカウンターから自撮り棒みたいなのを差し出して、厨房の撮影を始めたのがいたんだけど、そのときはさすがに怒鳴りつけちゃった。そういう人たちには『撮影してもいいけど、ちゃんと連絡してから来て』って言ってる。雑誌とかテレビなら事前に連絡してきて取材はこういうふうに……って段取りを決めて撮影するじゃない。でも、いきなり来て厨房の中まで撮らせてほしいって言われてもさ、昼メシ時にそんなもん無理だって」  Aさんは「俺はまだ優しいけどさ、ランチの忙しい時間帯って飲食店は“戦場”だから、おっかない大将ならたたき出されるかもよ」と。くれぐれも撮影の際は他のお客さんだけでなく、店の迷惑にならないように注意したほうがいいだろう。
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タダ食いを試みたインスタグラマー
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グルメ、カルチャー、ギャンブルまで、面白いと思ったらとことん突っ走って取材するフットワークの軽さが売り。業界紙、週刊誌を経て、気がつけば今に至る40代ライター

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