エンタメ

『テレビ千鳥』大悟の“下品ないじり”に物議。幼稚すぎる発言が一度は許されてしまった「日本のお笑いの問題点」

千鳥・大悟の発言に物議

テレビ千鳥

テレビ朝日『テレビ千鳥』公式サイトより

 お笑いコンビ、千鳥の大悟の発言が問題になっています。5月4日放送『テレビ千鳥』(テレビ朝日)の私服を買う企画で、人気ブランド「ジョンローレンスサリバン」のデニムを試着した際、前側にファスナーのラインが入ったデザインを「正面チャック2枚ち◯ぽ出し変質者」と表現して茶化す場面があったのです。  これにブランドのデザイナー、柳川荒士氏が激怒。「ブランドイメージを、自分達の笑いの為に一瞬にして踏み躙られたことが本当に悔しい」と自身のインスタグラムで心境を語りました。  22日にテレビ朝日は、大悟の発言に至る演出がブランドとの間で合意を得られていなかったことを認めて謝罪しましたが、ネット上では賛否両論、様々な意見が飛び交っています。  大悟の表現自体のまずさ。それをそのまま放送してしまった制作サイドの姿勢を批判する声の一方で、そもそもあのデザイン自体がおかしいだろうとか、ギリギリのラインを攻めるのが千鳥の笑いだと擁護するコメントも見受けられました。

“ギリギリのライン”があまりにも幼稚

 筆者は、大悟のキャラを全面に出すという身内の論理で押し切りすぎだと感じました。“ち◯ぽ”以外にも裾丈を余らせたデザインの別ブランドのデニムを“包茎”と表現したのは、さすがにアウト。レトリックもアイデアもないただの下ネタは、コンプライアンスとか倫理観以前の問題でしょう。  そのうえで考えたいことがあります。それはこの一件であらわになった、いびつな日本のお笑いです。大悟の話芸は中学生の放課後、よくても大学生の飲み会レベルの悪口です。“ギリギリのライン”とする設定が、あまりにも幼稚なのではないかと感じるのですね。  今回はあからさまに男性器を持ち出したために問題になりましたが、それでもこの種の直接的で安易な表現を、視聴者も含め珍しく感じていないふしがある。
次のページ
「誰よりも素早く爆笑をとること」が重要視されすぎ?
1
2
3
4
音楽批評の他、スポーツ、エンタメ、政治について執筆。『新潮』『ユリイカ』等に音楽評論を寄稿。『Number』等でスポーツ取材の経験もあり。Twitter: @TakayukiIshigu4

記事一覧へ
おすすめ記事
ハッシュタグ