非正規率は民間企業より高いケースも「手取り月20万円未満」非正規公務員の苦境
公務員にもかかわらず、手取りが10万円代前半で苦しんでいる人がいま、多くいる。2020年4月に新設された「会計年度任用制度」では、雇用契約を1年ごとに結べ、非正規職員に対してボーナスを支払えるようになったが、現場では「処遇がよくなったとは言えない」の声が絶えなかった。
その実態となぜを取材した。
2022年8月、ある地方の公立図書館で働く20代女性の司書が、ネット上で署名を集める活動を始めた。
署名のタイトルは、「私は最低賃金+40円・手取り9万8千円で働く非正規図書館員です。図書館の今を知り、未来のために署名をいただけませんか?」。署名を呼びかけた滝本アサさん(仮名)は言う。
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大炎上した図書館職員の嘆き
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「年中同じ服で、化粧品も買えない。友達に誘われても飲み会にも行けません」
司書の仕事は、本や雑誌の資料管理だけではない。子どもへの読み聞かせなど、地域の教育・文化活動も担う。それでも、公務員である正規職員に比べると、同じ仕事をしても給料は格段に低い。
「毎月カツカツで、実家暮らしだから何とか生きていける。一人暮らしのための貯金もできません」(滝本さん)
なぜ、ここまで給料が安いのか。背景には、2020年に新設された「会計年度任用制度」がある。
これまで非正規公務員は「臨時職員」や「特別職非常勤」など複数の制度があったが、法改正によって統一された。しかし、最長1年間の雇用なので、年度末に雇用契約をやり直さなければならない。九州地方のある司書は「3月に雇用が切られるか毎年不安」と話す。
再雇用されても、基本的に昇給はない。4月は慣例で「試用期間」に“降格”させられることもある。関東地方の男性司書は「司書経験のない正規職員が4月に異動で来ると、試用期間の私が仕事を教えている」という。
滝本さんが始めた署名活動は、すでに5万人を超える賛同を集めた。雇用年度の撤廃や専門職として時給2000円への給与アップを求め、今年度中に政府機関などに署名を提出する予定だ。滝本さんは「最低限、生活していける給料がほしい」と訴えている。
問題となっている会計年度任用制度とは?
’79年、高知県生まれ。早稲田大学第二文学部卒。「THE JOURNAL」「週刊朝日」編集部などを経て、現在はフリーランス記者
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