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標高2000メートル超“天空の湖”で浮遊体験も!南米チリのアタカマ砂漠がスゴすぎる

―[スゴ旅]―
 今年はようやく様々な制限が緩和され、夏休みにはそろそろ海外旅行がしたい……そう考えたものの、円安が進むなかで結局は諦めたという人も多いかもしれない。そこで「スゴ旅」と銘打ち、読めば“行った気分になれる”世界各国の旅情報をお届けする。

まるで異世界!南米チリの「天空の砂漠」

アタカマ塩湖

野生のフラミンゴが集う夕暮れ時のアタカマ塩湖

 世界には「地球上だとは思えない」と表現される秘境がいくつかあると思いますが、平均標高2000メートルを超えることから「天空の砂漠」と呼ばれるアタカマ砂漠は間違いなくその1つ。アフリカのサハラ砂漠、中国のゴビ砂漠と並び、景観の美しい「世界三大砂漠」のひとつにも選ばれています。  アタカマ砂漠があるのは南米チリのアンデス山脈と太平洋の間。標高の高さはもちろん、しゃく熱の太陽が照りつける「世界で一番乾いた大地」としても知られ、山と海をつなぐアタカマ砂漠を通る道はその過酷さから「死への道」と呼ばれ、恐れられてきたそうです。
月の谷

塩が雪のように見える「月の谷」(写真提供:Sernatur)

 そんな砂漠内では、都会で見慣れた常識をぶっ飛ばすようなスゴい風景に出合うことができます。例えば名前だけでも異世界感たっぷりの「月の谷」や「死の谷」。月の谷ではギザギザの奇岩が並ぶ風景が続きます。かつてアタカマ砂漠は海の底だったので、砂漠に雪が降ったかのように塩に覆われている場所もあります。あちこちに出現する乳白色の水晶のような岩の表面は、実は塩の結晶です。舐めてみたら「うわっ、しょっぱいっ!」。当然ですが塩辛くて感激しました。また辺りが静まると、昼夜を通してペキペキと塩の結晶が割れる小さな音が聞こえてきます。
月の谷

夕日に赤く染まる「月の谷」(写真提供:Sernatur)

 アメリカの国立公園などと違ってそれほど混み合っていないため、時間を選べばほんの数人と月面に取り残されたような感覚が味わえます。そうなるとSFファンじゃなくても「人類の大部分が滅びた後……」「月面に移住した我々は……」など想像を膨らませてしまうはずです。

夜空を覆いつくす星々

 しかもアタカマ砂漠は、地球上で「宇宙に最も近い」と言われる場所です。世界最高峰のエベレストのほうが近いのではと思われるかもしれませんが、ここは世界でいちばん晴天率が高く空気が澄んで「宇宙が最もよく見える」場所。よってこう呼ばれているのです。実際に世界中の天文学者が訪れています。「世界最高地点の天文台」としてギネス認定されている東京大学アタカマ天文台もあります。  日が落ちて、寒さに凍えながら砂漠へ出かけると、夜空はびっしりとこぼれ落ちんばかりの星々。望遠鏡を覗くと土星のリングまではっきりと見えました。それだけでもすごいのですが、やっぱり感動するのは、この満天の星空を遮るものがなく、全方位で見られること。地平線の端から頭上を通って反対側まで続く天の川に無数の流れ星。こんなにロマンチックな光景はなかなかありません。  体を温めるためのお酒が入れば、「ああ、きっとこの広い宇宙のどこかには知的生命体がいるだろうな」。ついそんなふうに思いを馳せてしまいます。この星空を写真でお見せできないのが残念!
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死海よりも濃い湖
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ブラジル、アメリカを経て、現在ポルトガル在住のフリーライター。世界100ヵ国以上の現地在住日本人ライターの組織「海外書き人クラブ」会員。
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