『水曜どうでしょう』歌手でパーキンソン病と闘う樋口了一が語る、59歳での“初挑戦”「自分の曲に背中を押される」
バラエティ番組『水曜どうでしょう』のテーマソング「1/6の夢旅人」などで知られるシンガーソングライターの樋口了一さん(59歳)。今も全国のどこかで放送されている同番組と、流れ続ける自身の曲に「背中を押されて“頑張れよ”と言われている気がする」と語る。
――樋口さんは、『水曜どうでしょう』のテーマソング「1/6の夢旅人」も非常に愛されています。裏方であったはずの藤村さんや嬉野さんは先に俳優デビューされていました。そうした姿をどうご覧になっていましたか?
樋口了一(以下、樋口):考えてみたら、いわゆるメイン関係者の中では僕だけがお芝居をやっていなかったんですよね。今回、ついに私もやってしまったので、みんなが演劇集団のようになってしまいました(笑)。でも、『水曜どうでしょう』では、初期の頃こそ、藤村さんは黙ってましたけど、だんだん口を挟むようになっていって、スタッフが前に出てくるというある意味、異常な状態になっていったわけで(笑)。そこから考えても、表現者になっていくのは、もともとごくごく自然な流れだったんじゃないかなと思います。
――そう言われればそうですね。
樋口:だから彼らが芝居をやるとなったとき、「意外だね」と思う人って、いなかったんじゃないかな。逆に「それはハマるでしょ」と。僕も思ったし、落ち着くところに落ち着いた気がしますね。大泉くんと「鈴虫」だとか「カブトムシ」だとか言って競り合ってね。あれ自体、即興演劇を見てるみたいでしたよね。藤村くんの空気がそもそも演劇っぽいし、僕もつかず離れずの状態でいて、気づかずに影響を受けていたんじゃないですかね。
――いまも全国の必ずどこかしらで『水曜どうでしょう』が再放送されています。
樋口:恐ろしいことです(笑)。
――当然、樋口さんの曲も流れているわけですけれど、私たちを楽しませてくれていると同時に、みんなに愛されているという事実は、樋口さんの力にもなりますか?
樋口:もちろんなります。ただそれにしても、時間感覚がなくなりますよね。急にみんなの若い頃が出てくるかと思えば、また別の年代のものが出てきたり、そこに自分の作った曲が、日本全国で、流れてくる。逆に自分の曲に背中を押されて「頑張れよ」と言われている気になります。
――私も放送されるたびに、録画して見ています。何度も見ているのに。
樋口:あれは、なんですかね。中身は知ってるのに見ちゃうんですよね。全部分かっているのに。子どもの運動会とか身内のビデオを見ている感じなんでしょうね。『水曜どうでしょう』って本当にムーブメントですよね。ほかに何か例えられるかなと考えるんですけど、見つかりません。ザ・ビートルズくらいの奇跡的な出会いなんじゃないかって思っちゃいますよね。
そんな樋口さんが演技に初挑戦。実は『水曜どうでしょう』組からは、レギュラーの大泉洋さんと鈴井貴之さんはもちろん、チーフディレクターの“藤やん”こと藤村忠寿さん、カメラ担当ディレクターの“うれしー”こと嬉野雅道さんも、すでに俳優デビューを果たしている。
「今回、ついに私もやってしまった」と笑う樋口さんが挑んだのは、しかも主演。自身も2009年に診断され、向き合い続けるパーキンソン病に罹患したサラリーマンの主人公・功一を『いまダンスをするのは誰だ?』で演じた。
『水曜どうでしょう』は演劇集団
自分の曲に「頑張れよ」と言われている
ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画周辺のインタビュー取材を軸に、テレビドラマや芝居など、エンタメ系の記事を雑誌やWEBに執筆している。親類縁者で唯一の映画好きとして育った突然変異。X(旧Twitter):@mochi_fumi
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