更新日:2023年11月01日 10:20
エンタメ

2023年秋ドラマ17本を総ざらい。ストーリー序盤からみえた“今後の期待度”を独自採点

秋ドラマ、プライム帯は17作品

下剋上球児

番組公式HPより

 秋ドラマが出揃った。プライム帯(午後7時~同11時)に17作品ある。強い女性が主人公の作品が目立つ。ドラマには時代が表れるから、今の世もそうなのだろう。全て観るのは難しいはず。そこで、これまでの出来映えと今後の期待度で作品を独自採点(満点は星5個)してみたので、ガイドに使っていただきたい。 《NHK》 『大奥 season2』(火曜午後10時)  出演・中村蒼(32)、仲間由紀恵(43)ほか、脚本・森下佳子 冬ドラマ『大奥』の続編。江戸時代が舞台で、男女の役割が逆転している。その原因である謎の死病「赤面疱瘡」と戦う医師たちと、幕府内の権力闘争に明け暮れる女たちを描いている。明るい話は少なく、ビターテイストだ。 権力闘争の中心にいるのは幕府の実質的支配者・一橋治済(仲間由紀恵)。11代将軍・家斉(中村)の母親である。その気質はサイコパス的で、力を得るため、10代将軍・家治(高田夏帆)ら邪魔者を次々と暗殺した。 治済役の仲間がいい。愉しそうに人を殺し、観ていてゾクッとする。善人役ばかり演じてきたから、落差が大きく、余計に恐い。 採点★★★★

日本テレビ 3作品

コタツがない家』(水曜午後10時) 主演・小池栄子(42)、脚本・金子茂樹 舞台となる深堀家の大黒柱は妻で母親の万里江(小池)。しっかり者でウェディングプランニング会社を経営している。一方、夫の悠作(吉岡秀隆)は絵に描いたようなダメ男。漫画家なのだが、仕事はなく、ゲーム三昧の日々。それでいて大口を叩く。 1人息子で高校3年生の順基(作間龍斗)もダメ男。現実を直視できない。この深堀家に万里江の実父・山神達男(小林薫)が転がり込んできたのだが、やっぱりダメ男。万里江の母親・貝田清美(高橋惠子)に愛想を尽かされ、熟年離婚した。そのうえ投資詐欺に遭い、金もない。この3人を万里江が引っ張って行く物語。 小池、吉岡、小林の演技が出色。観ていて楽しい。金子氏の脚本もセンス抜群。奇をてらわないエピソードと会話の連続なのだが、心を掴まれるし、笑える。 採点★★★★ 『ゼイチョー〜‎「払えない」にはワケがある〜‎』(土曜午後10時) 主演・菊池風磨(28)、脚本・三浦駿斗 舞台は市役所の納税課。税金を滞納した市民から徴収を行う職員たちが描かれる。主人公はその1人の饗庭蒼一郞(菊池)である。 税金のドラマなのに硬さが排されていて、観やすい。だが、第2回はいただけなかった。住民税を滞納していたパチンコ店従業員・小沼真名美(田辺桃子)が、税金は年金受給者らのパチンコ代になるから、払いたくないと繰り返し主張した。しかし、年金の原資は税金ではない。現役世代の保険料だ。真名美に言わせっ放しにせず、誰かに正しいことを説明させるべきだったのではないか。登場人物たちの個性もやや弱い。 採点★★ 『セクシー田中さん』(日曜午後10時30分) 主演・木南晴夏(38)、脚本・相沢友子 主人公の田中京子(木南)は食品会社の経理部に勤務するアラフォーのOL。税理士資格を持ち、TOEICは900点超えの賢女だが、周囲から地味で暗いと思われている。事実、友人も彼氏もできたことがない。 しかし、別の顔がある。夜になると、ペルシャ料理店でセクシーなベリーダンスを踊っている。それを知った同じ会社の派遣社員・倉橋朱里(生見愛瑠)は我が道を行く京子に惹かれる。朱里も殻が破れる。 悩める現代女性たちの実像を、ベリーダンスを軸に描く。設定はやや非日常的だが、登場人物たちのキャラクターや言動がリアリティに満ちていて、引き込まれる。 採点★★★★
セクシー田中さん

番組公式HPより

次のページ
テレビ朝日、TBSの秋ドラマ
1
2
3
放送コラムニスト/ジャーナリスト 1964年生まれ。スポーツニッポン新聞の文化部専門委員(放送記者クラブ)、「サンデー毎日」編集次長などを経て2019年に独立。放送批評誌「GALAC」前編集委員

記事一覧へ
おすすめ記事
ハッシュタグ