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「競馬は全て二択である」エリザベス女王杯で的中した予想理論“レース質マトリックス”とは

すっかり一般化した「レース質」という概念

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昨年のマイルチャンピオンシップは阪神芝1600mで施行。セリフォスが後方からの差し切り勝ち 
写真/橋本健

 去る11月10日の金曜日に、最新刊『回収率を5%ずつ底上げしていくレース質マトリックス馬券教本 実践編』を上梓した競馬予想家の立川優馬氏。  今でこそ、多くの予想家が当たり前のように「レース質」というワードを使っていますが、立川さんのデビュー作『レース質マトリックス 競馬は全て二択である』を送り出した2021年の時点では、全く一般化していませんでした。出版社の企画会議でも「レース質という言葉は競馬ファンに通じるのか?」と議題にのぼり、インターネットで検索したところ、ほとんど引っ掛からなかった、という逸話が残っているほどです。  つまり、「そのレースが持っている性質=レース質」という概念を予想に落とし込んだ第一人者が立川優馬氏なのです。  今回は立川氏をお招きして、予想理論「レース質マトリックス」についてお聞きします。

馬を見るな。レースを考えろ!

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予想理論『レース質マトリックス』考案者の立川優馬氏

——レース質マトリックスとはどんな理論、考え方なのでしょうか? 立川:一言で言うと、「レース自体を予想」する理論になります。つまり、「どの馬が走るかな」ではなく、「どんなレースになるかな」という思考から、そのレースに合った出走馬をピックアップする手法を取っています。その際、「どんなレースになるか」=「レース質」と呼び、「枠順(内枠有利or外枠有利)」「脚質(先行有利or差し有利)」「ローテ(短縮有利or延長有利)」の3つのバイアスと、「ペース(ハイペースorスローペース)」を組み合わせて表現しています。 ——最初の単行本の副題になっている「競馬は全て二択である」とは、そういう意味なのですね。 立川:そういうことです。各バイアスは、競馬がもつ構造やコース形態、馬場状態、出走メンバーとその枠の並びなどから判断しており、例えば「内枠・先行・延長・スローペース」などと表します。この場合、「内枠が有利になりやすいレイアウトのコースで、スローペースになるため先行馬が有利、そうなると自然に位置を取れる距離延長馬(前走より今回のレースの方が距離が長い馬)が恵まれる」というような捉え方をします。 あとは、そのレース質に合致する馬を出走馬から見つけて、その馬から条件に比較的合っている馬に流すというような馬券のフォーカスを組みます。
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馬券攻略誌『競馬王』の元編集長。現在はフリーの編集者・ライターとして「競馬を一生楽しむ」ためのコンテンツ作りに勤しんでいる。
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