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もう一度見たい!「2023年ドラマ」ベスト5。『うち弁』は5位、『ブラッシュアップライフ』は2位

2023年ドラマBEST5。“ドラマ史に残る作品”を尺度に選考

 暮れが押し迫った。ドラマ界の1年も終わる。面白い作品が多かったが、筆者が思う「ドラマ史に残る作品」ベスト5を(※各ドラマのストーリーのネタバレを含みます)。

5位『うちの弁護士は手がかかる』

(フジテレビ系 23年10月13日〜12月22日放送)  
うちの弁護士は手がかかる

番組公式HPより

 一度は人生を捨てかけた元芸能マネージャーと他人を信じられなかった新人弁護士が、再生と成長を遂げる物語。全体を笑いのオブラートに包んでいたが、底流には「仲間を信じろ」という力強いメッセージがあり、だからこそ多くの人を惹き付けたのだろう。  主演のムロツヨシ(47)が扮する敏腕芸能マネージャー・蔵前勉は大物に育て上げた俳優(吉瀬美智子)からクビを言い渡される。失意のあまり、死すら考えた。救いの手を差し伸べたのが「香澄法律事務所」所長の香澄今日子(戸田恵子)。平手友梨奈(22)が演じる新人弁護士・天野杏のパラリーガルに迎え入れた。  杏は頭が切れ、正義感も強いが、びっくりするほど社会性がなかった。事務所内でも孤立気味だった。香澄は敏腕マネージャーの蔵前なら杏を1人前の人間にしてくれると踏んだ。  蔵前は期待に応えるべく杏に他人や周囲との向き合い方を説いてゆく。それにより、杏は相手の気持ちを考えるようになり、事務所の面々からも仲間として迎え入れられた。  杏はやさしくなった。最終回、対立を続けていた異母姉・天野さくら(江口のりこ)にも「私は(あなたを)許します。私はもう1人ではないので」と告げた。さくらは「そう、良かったじゃん」と皮肉っぽく答えたが、本音も混じっていたはずだ。さくらは最後まで一人ぼっちだった。  杏が仲間を得たことを強調したのはラストの事務所の面々とのパーティーのシーン。初回時点の杏なら誘われないし、参加しなかっただろう。意味が乏しいシーンのようで、大きな意味を持っていた。  年齢もタイプもかけ離れ、放送開始前には結びつきそうになかったムロと平手。2人を組ませた制作陣の技アリだった
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オーケストラを舞台にした大人たちの青春ドラマ
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放送コラムニスト/ジャーナリスト 1964年生まれ。スポーツニッポン新聞の文化部専門委員(放送記者クラブ)、「サンデー毎日」編集次長などを経て2019年に独立。放送批評誌「GALAC」前編集委員

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