韓国野球の“打撃力が低下した”理由…「低反発バットの導入」で日本も同様の未来が訪れる可能性が
低反発バット導入に向けた議論が日本高野連で本格的に始まったのが2019年。そして、2022年から2年間の移行期間を経て、ついに2024年春より正式に導入されることになっている。
導入される背景には、打球による負傷事故防止や投手の負担軽減による怪我防止が理由とされているが、弊害も少なくなさそうなのだ。
本記事では、これまでプロ野球から高校野球まで野球関係の記事や書籍を幅広く執筆する野球著作家のゴジキが、「低反発バットによって高校野球がどう変わるのか」を考えてみたい。
昨年開催された「WBSC U-18野球ワールドカップ」で馬淵史郎監督(明徳義塾)が、バント作戦を中心とした「スモールベースボール」で優勝。この結果を受けて、低反発バット導入後、U-18の戦い方を参考にする監督は増えるのではないだろうか。
高校野球では、1日に複数試合あることが影響してグラウンドが荒れるケースも珍しくない。それに技術的に完成されているプロ野球とは異なり、「ゴロを転がせば何かが起きる」可能性が高い。だからこそ、低いライナー、ゴロを意識させる傾向がより顕著になりそうだ。
また、打力を武器にしたチームを目指していくなら、2004年の駒大苫小牧や2022年の仙台育英のように、派手な一発はなくても、「強くて低いライナーを打てる選手を並べる」ことが最適解になると言ってもいい。
しかし、そういったチームはあくまで少数派。基本的には守備を重視するチームのほうが多いため、一発勝負のトーナメントにおいては、さらに犠打が増えていくと予想される。あるいは、走力が水準以上あって小回りが効く選手を並べる高校も増えていきそうだ。
実際のところ、21世紀の夏の甲子園の優勝校で、2001年の日大三から2023年の慶應を振り返っても、犠打が一桁代で大会を終えた高校は2012年の大阪桐蔭と2016年の作新学院のみである。加えて失策が少ない高校が優勝している傾向もあるわけで、今まで以上に細かいミスがない洗練された野球ができるかが、勝ち残るうえでカギになっていくだろう。
ゴロを意識させる傾向がより顕著に?
今まで以上に細かいミスが許されなくなる?
野球評論家・著作家。これまでに 『巨人軍解体新書』(光文社新書)・『アンチデータベースボール』(カンゼン)・『戦略で読む高校野球』(集英社新書)などを出版。「ゴジキの巨人軍解体新書」や「データで読む高校野球 2022」、「ゴジキの新・野球論」を過去に連載。週刊プレイボーイやスポーツ報知、女性セブンなどメディアの取材も多数。Yahoo!ニュース公式コメンテーターにも選出。日刊SPA!にて寄稿に携わる。Twitter:@godziki_55
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