「阪神の査定」が甘かった時期も…“パワプロシリーズ”の能力査定を振り返る
2月14日のゲーム教養番組『ゲームゲノム シーズン2』(NHK)にて『パワフルプロ野球(以下、パワプロ)』特集回が放送された。
パワプロは、1994年にスーパーファミコンのソフトとして発売され、2024年現在まで続いている大人気野球ゲーム。野球好きでなくとも、1度や2度はプレイした経験があるであろう定番であり、現在はスマホアプリでも楽しむことができる。
さて、パワプロといえば、選手の能力が数値化されていることでもおなじみ。贔屓の選手の能力値が低くて納得がいかないなんて話もよく聞くものだ。一体どういった基準で定めているのだろうか。本記事では、これまでプロ野球から高校野球まで野球関係の記事や書籍を幅広く執筆する書いている野球著作家のゴジキが、「パワプロの選手に対する査定」を考えてみたい。
初期のパワプロでは、選手の査定が“インフレ傾向”にあった。
松井秀喜(当時:読売ジャイアンツ)は『パワプロ3』で、パワーはもちろんA。そして肩力もAで、ミート・走力・守備力はBを記録している。
発売前年1995年の成績は、打率.283、22本塁打、80打点、9盗塁、OPS.845である。
松井の当時の成績やイメージを考えると、パワー以外は過大評価に思える。もし、私が松井を査定するならミートD・走力C・肩力C・守備力Dだ。
このように、パワプロが発売され始めた初期はこのような若干緩めの査定も散見された。
松井とともに一時代を築いた打者はどうか。同じく『パワプロ3』のイチローの能力は(当時:オリックス・ブルーウェーブ)がオールA(ミート・パワー・走力・肩力・守備力)だ。発売前年の成績は、打率.342、25本塁打、80打点、49盗塁、OPS.976である。この1995年のイチローは、首位打者、打点王、盗塁王、最多安打、最高出塁率を記録しており、OPSもリーグ1位だった。
イチローといえば、「安打製造機」のイメージだが、このシリーズが始まる前のシーズンは本塁打がリーグ3位タイの25本で、本塁打王を獲得した小久保裕紀(当時福岡ダイエーホークス)と3本差だった。パワーの数値は、この年の打低が影響して“A判定”になったはず。相対的に見ると、査定自体は妥当な結果かもしれないが、若干甘めのような気もする。
松井秀喜の能力は「BABAB」
同作のイチローは妥当だが…
野球評論家・著作家。これまでに 『巨人軍解体新書』(光文社新書)・『アンチデータベースボール』(カンゼン)・『戦略で読む高校野球』(集英社新書)などを出版。「ゴジキの巨人軍解体新書」や「データで読む高校野球 2022」、「ゴジキの新・野球論」を過去に連載。週刊プレイボーイやスポーツ報知、女性セブンなどメディアの取材も多数。Yahoo!ニュース公式コメンテーターにも選出。日刊SPA!にて寄稿に携わる。Twitter:@godziki_55
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