個人店の廃業が相次ぐ“6000億円”ラーメン市場の中で急成長する「人気ラーメンチェーン」2社の勢い
経済産業省公表の飲食関連産業の動向によると、外食産業の市場規模は28兆円(2023年上期)である。1997年の29兆円が最大規模で、その後は長く続いたデフレにより、若干縮小している。
マーケティング調査(富士経済外食マーケティング便覧2023)によると外食産業は上位3社の売上高シェアが70%を超える寡占化市場であり、1位ゼンショーホールディングス(すき家やはま寿司など)、2位日本マクドナルドホールディングス、3位すかいらーくグループ(ガストやバーミヤンなど)となっている。
現在公表されているラーメン店は全国に約1万8000店舗あり、そのうち約半数がラーメンチェーン店(経済産業省の経済センサス活動調査)であり、需要は6000億円市場と推計される。需要の割に競合店が多く競争が激しくなっており、最近は深刻な物価高でそれを価格に反映させたいが、独自のデフレが推進中のため、値上げが難しい状態だ。
大手チェーン店と違って、スケールメリットの恩恵を享受できない個人店は経営が厳しく、廃業する店も多い。しかし、市場はまだまだ成長余地があり、やり方によっては自社のシェアを高められる千載一遇のチャンスと展開力を強化する、攻めのチェーン企業もあるから頼もしいものだ。
商品力と販売力を強化しながら、未開拓の潜在需要を顕在化させるように、次々と施策を実施している。海外市場の開拓だけでなく、国内市場の深耕に力を入れるチェーン企業の動きは活発だ。
株式会社魁力屋は2003年2月設立され、 京都市中京区烏丸に本社を置く飲食店経営の会社で、主力ブランドの「京都北白川 ラーメン魁力屋」を中心に、全国に146店舗(東北3店舗、関東69店舗、東海29店舗、関西40店舗、中国1店舗、九州・沖縄4店舗)を展開しており、前年に対して13店舗の純増である。
2009年に社内独立支援制度を導入し、独立者6社、25店舗、を展開中である。2023年FC事業を開始し、加盟企業4社、7店舗を展開している。2023年12月15日、スタンダード市場に上場している。
直近の業績(2023年12月期実績)は、売上105億8300万円、営業利益6億7900万円、営業利益率6.4%である。売上は新規出店が15店舗あり、その増加分で前年比20.1%伸ばしている。本業の儲けである営業利益は前年比78.3%と著しい伸長度を見せており、売上・利益ともに過去最高となっている。費用構造を見ると主要コストの原価率は29.1%と原価管理は徹底されている。総利益率が約71%あるから、人件費・業務費・管理費の支払いにも余裕がある。
経営の重要指標を分析すると、成長性である売上成長率は目標の10%を大きく上回り20.1%となっている。投資収益性である自己資本当期純利益率(ROE)は目標値の8%を上回り11.4%となっている。経営の安全性である自己資本比率は目標値である50%を上回り、58.9%と財務基盤も盤石である。
しかし、その中でラーメン市場だけ取り上げると、上位3社(餃子の王将、日高屋、幸楽苑)のシェアが20%となっており、混戦状態である。今は下位に留まっているが、虎視眈々と上位を狙っているラーメンチェーンも多い。今回は、その代表的な2社を取り上げたいと思う。この2社は関西が地盤だが、全国展開に向け準備している勢いのあるラーメンチェーンである。
関西から全国展開を進めるラーメン店
シェア拡大を狙う!京都発の「ラーメン魁力屋」
飲食店支援専門の中小企業診断士・行政書士。自らも調理師免許を有し、過去には飲食店を経営。現在は中村コンサルタント事務所代表として後継者問題など、事業承継対策にも力を入れている。X(旧ツイッター):@kaisyasindan
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