ラーメン店の倒産が過去最多に。個人店が苦戦する中、規模を拡大する“人気チェーン”の存在感
東京商工リサーチによると、2024年1~9月のラーメン店の倒産状況(日本産業分類・細分類)は47件(前年同期比42.4%増)と、集計を開始して以降、年間最多だった2023年(1~12月)の45件を抜く結果となったようだ。
来来亭の本社所在地は滋賀県野洲市で、代表取締役は豆田敏典氏である。滋賀県から日本全国に向け、36都府県277店舗(2024年3月時点)を展開中である。そもそもは、閉店していた店を豆田氏がレシピごと引き継いで創業し、1997年3月に1号店(野洲店)をオープンした。
2002年有限会社やる気を設立し、2002年11月に株式会社来来亭に組織変更した。多店舗化を視野に入れ製麺工場も立ち上げている。独自時ののれん分け制度を有しており、強固な運営力による店舗展開をして、100人以上の社長を輩出している。社員独立を積極的に後押ししており、フランチャイズ展開も積極的だ。
もちろん、店内レイアウトは標準化しており、効率的なオペレーションも確立している。同じ志を持つ人達を組織化し、市場を攻める姿は頼もしい限りである。
ちなみに、来来亭から独立して開業し、チェーン展開したのが、北白川の魁力屋で、こちらは株式上場している(2023年12月、東京証券スタンダード市場)。来来亭のラーメンは、京都風醤油味の鶏ガラスープに背脂をふんだんに浮かせているのが特徴である。
表面に背脂、中は澄んだ鶏ガラベースのスープなので、コクがあるのに口当たりはスッキリ! 最後まで飲み干せるスープになっている。麺はコシのある細麺で、スープとよく絡んでいる。年齢・性別を問わず皆様に「美味しい」と言ってもらえるラーメンを作りたいというのが、当然ながら店の経営方針だ。
筆者の知人である厨房機器の直販メーカーに聞くと、30店舗くらいまでは、豆田社長自身が自社の担当者と直接に交渉をしていたが、さらなる店舗数の拡大戦略を目標としたことを契機に、戦略策定と運営を分離させた組織に刷新。各担当者に、権限と責任を明確にした組織運営に変更したという。
店舗以外でも、大手コンビニ・ファミリーマートで2016年10月から監修した「カップ麺」、そして2022年からは3年連続期間限定で「冷やし中華」「チャーハンおにぎり」を販売。ブランド認知力のさらなる向上に貢献しているようだ。今後も安定した経営基盤で、確実な店舗展開を目指すようである。
コロナ関連支援策に支えられて、2022年の倒産は21件の減少に留まったが、コロナが収束し、行動制限が解除され、日常が回復したにもかかわらず、物価高や人手不足など、経営の足を引っ張る要因があり、なかなか業績の回復に苦労しているのが実情だ。
ラーメン店は参入障壁が低く開店しやすいが、参入が容易な反面、廃業率が高く生存競争は厳しい。ラーメン店の倒産原因は、販売不振が約7割を超える。負債額は1億円未満が42件(同89.3%)、従業員数は5人未満が42件(同89.3%)で、小・零細規模のラーメン店が費用圧迫と売上不振に苦しんでいるようだ。
今回は、厳しい市場環境の中で、滋賀県を基盤に249店舗展開する来来亭と、苦戦する個人経営店の生き残り策を紹介したい。
経営環境に逆風が吹く中でも存在感
独立して開業した人気チェーンも
飲食店支援専門の中小企業診断士・行政書士。自らも調理師免許を有し、過去には飲食店を経営。現在は中村コンサルタント事務所代表として後継者問題など、事業承継対策にも力を入れている。X(旧ツイッター):@kaisyasindan
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