「会社のノルマがキツくて、もう限界!」 な時の対処法
―[実録[過酷すぎるノルマ]選手権]―
余裕なき組織が現場の人間に課す「ノルマ」という名の“十字架”。そのあまりの重みに耐えかねた悲痛な叫びは、今日もあちらこちらで上がっている。そんなノルマ地獄に実際に陥ってしまった際、素人判断でヘタに動くと、逆に事態が悪化するケースも多いとか。では、どのような対処法が有効なのか。専門家たちに伺った!
Q:ノルマがキツすぎて、もう限界。会社の労働組合や上司、同僚などに相談すべき?
「上司や同僚、労働組合など、会社がらみの人に相談するのは意外とリスクが高いです。自然と情報が洩れてしまい、会社側から圧力をかけられて、余計に面倒なことになる可能性も。行政もすぐに対応してくれないので、早急な助けを求めるのなら、外部のNPOやコミュニティユニオンなどに相談してみることをお勧めしています」(労働問題の相談に無料対応するNPO団体「POSSE」代表・今野晴貴氏)
Q:「ノルマがこなせないなら辞めろ」と上司に言われた!
「法律的には、正社員を『ノルマがこなせないから』という理由だけで解雇するのは原則NGです。それで会社を辞める必要はありません」(弁護士・石井琢磨氏)
仮にそれで辞めさせられそうになった場合、なんらかの対応をとることも可能だ。ただし、「退職の手続きをした後は、権利関係が変わってくるので、訴えたいことがある場合は、すぐにサインしないでください」(今野氏)とのこと。注意が必要だ。
Q:ノルマがこなせず、ペナルティとして給料が減額された……
ノルマがこなせなかったときのペナルティとして、ボーナスや給料が減らされてしまうケース。歩合制の企業ではよくある話だが、こちらはいかがか。
「入社時に会社と交わした契約で決まっている給料から、一方的に減額するのは、法律で罰せられます。ボーナスや歩合の場合はオプションなので、減額されても文句は言えませんね。ただし、『もらっている給料÷労働時間』が、都道府県別に定められている最低賃金(東京は837円)を下回っている場合は違法になります」(石井氏)
Q:タダ働きした分の残業代は取り返せる?
ノルマについて回るのが、サービス残業。つい「みんなそうだし」と諦めがちだが、実は、十分取り返す余地はあるらしい。
「労働時間や勤務内容が具体的にわかる書面(タイムカードや日記など)や周囲の証言。最終手段としては上司のノルマに関する発言を録音しておくと裁判で有利になります」(今野氏)
なかには1000万円ぐらい取り返した人もいるそうだ。
Q:ノルマが過酷すぎて心身共にダメージ。会社に賠償請求できる?
あまりに人権侵害の甚だしい職場ならば、泣き寝入りするのは悔しいところ。対抗策は?
「ノルマがこなせないことによる暴言など、パワハラだけでは裁判で争うのは難しい。ただ、現実的には精神障害などの診断書があれば労災を認められる可能性が一気に広がってきます」(石井氏)
また、何かしらのアクションをとるなら退職前がベストだ。
「無断欠勤するのはあまりよくないですが、過労で自分の体を壊すのは本末転倒です。『病気なので、明日から休みます』と会社を休み、一度冷静になってから対抗措置を考えて」(今野氏)
【今野晴貴氏】
NPO法人「POSSE」代表として、若者を中心とする労働相談に携わる。著書に『マジで使える労働法』『ブラック企業に負けない』などがある(http://www.npoposse.jp/)
【石井琢磨氏】
弁護士。相模川法律事務所代表。消費者問題や借金問題、交通事故などの弁護を中心に活動を行う。ブログ「相模川の弁護士」(http://sagamigawa.blog73.fc2.com/)が更新中
― 実録[過酷すぎるノルマ]選手権【9】 ―
『マジで使える労働法』 “普通”に働きたいアナタに! |
この特集の前回記事
ハッシュタグ