小池龍之介氏『通勤車内でも瞑想のお稽古はできる』
混雑した通勤車内でも瞑想のお稽古はできるんです
混雑して文庫本を開く余裕もなく、携帯電話も使えない状態の車内でできることといえば、せいぜいボンヤリと考え事をするくらいのもの。ならば、いっそ考えることもやめて瞑想にチャレンジしてみるというのはどうか。
電車の中で集中できるのか、なんて心配は無用。著書『考えない練習』(小学館)が話題の僧侶、小池龍之介氏によれば、瞑想はどこでもできるものだという。
「本来、瞑想とは集中力と自己観察力を高めるためのトレーニング法です。静かな環境で、リラックスした状態で座禅を組むのが最善ですが、意識を集中させるお稽古は、いつでもどこでも実践することができます」
立ったままでも構わないし、集中して雑念を振り払えば、周囲の騒音も気にならなくなる。何かに意識を集中させる練習ができれば、どこでも瞑想は成り立つのだ。
身動きが取れない電車の中でもできる方法として小池氏が勧めるのは、呼吸瞑想というもの。
「普段は無意識のまま漠然と行っている呼吸をじっくりと見つめ、意識を集中させるのが呼吸瞑想です。空気が鼻から入り、気道を通って、肺に達し、また鼻から出ていく。そのプロセスを、できるだけゆっくりと、今どこを空気が通っているかを確認しながら、そのひとつひとつに意識を集中させながら行っていきます。呼吸は、誰もが自然に行っており、好き嫌いなどの余計な感情が伴わないので、初心者の方でも意識を集中させやすく、瞑想のお稽古には最適なのです」
ゆっくりと意識して呼吸すれば、心が落ち着き、イライラすることもなくなるという。
会社でどんなに腹の立つことがあっても、帰りの電車内で呼吸瞑想すれば心スッキリ。混雑で余計にストレスを増やすより、はるかに賢い時間の過ごし方なのでは?
【小池龍之介氏】
月読寺住職、正現寺副住職。
主な著書に『考えない練習』(小学館)など。
ウェブサイト「家出空間」(http://iede.cc/)
取材・文/古田雄介 塩原晃 宮下浩純(ミドルマン) 昌谷大介 中尾巴 藤村はるな 江口裕人(本誌)
イラスト/まるやまともや
― 憂鬱な空間を一変する(得)通勤革命【10】 ―
この特集の前回記事
ハッシュタグ